ランチァ『テージス』は、スタイリングの傑作(と言えないまでも、少なくとも記憶すべき作品)と見なされよう。「合理的な実用性は想像の世界に追いやられた、エキサイティングなエレガンス」と広報資料は表現するが、納得できるだろう。
厚みのあるフロントエンドと長いボンネットに見られるように、レトロ風味も利いている。垂直に近くそそり立ったグリル、ヘッドライト輪郭のクローム、明確な造型のフロントフェンダーも過去からの引用と言っていい。
ただし日本のカスタム仕様のような復古調ではなく、新しいデザイン手法として成立していることも言える。その予告は1998年の『ディアロゴス』ショーカーだった。