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 マイクロソフトは、組み込み用オペレーティングシステム(組み込みOS)のソリューションで、車載機器開発の強力なサポート役となっている。車載機器のなかでも、カーナビゲーションシステム(カーナビ)をめぐる状況は、転機を迎えていると言えそうだ。HDDナビのように高度化、高級化を志向する製品はもちろん、世界的にはPortable Navigation Device(PND)とよばれる携帯型の低価格製品が急速に普及しているのだ。いずれも、機能、使いやすさ、そして価格をめぐって、熾烈な開発競争が行われていることは言うまでもない。

 本企画では、欧州・米国・アジア各地での取材を通じ、カーナビをはじめとする自動車情報化をめぐる、マイクロソフトのグローバルな展開を追う。
マイクロソフトの組み込みソリューション
 マイクロソフトには、1996年に最初のバージョンが発表された組み込み用オペレーティングシステム(組み込みOS)Windows Embedded CEがラインアップされている。これに自動車特有の開発ニーズに合わせ付加価値を高めた、いわば「自動車情報化専用CE」とでもいうべき、Windows Automotiveが提供されている。さらには、基準となるハードウェア設計とソフトウェア構成をも含めたソフトウェアプラットフォームMicrosoft Autoも用意されている。
組み込みOS
 まずはじめに、「組み込みOS」とは何なのか整理しておこう。

 マイクロソフトといえば、Windows Vistaをはじめとするパソコン用OSやMicrosoft Officeといったアプリケーションソフトが代表的だ。しかし、パソコン以外のコンピュータも、家庭内、オフィス内の至るところにあふれている。CPUを内蔵した特定用途向けの機器のことだ。パソコンがソフトウェア次第で様々な役割を果たす「汎用機器」であるのに対し、これらの製品は「専用機器」とよぶことができる。

 ご飯を炊くための専用機器である「マイコン内蔵炊飯器」を例に説明しよう。炊飯器に最低限要求される機能は、「スイッチが入ったら加熱を行い、一定時間経過後にスイッチを切る」といったところだろう。しかし、これだけでは「おいしく炊く」ことは難しい。そこで、炊飯器にコンピュータ(マイコン)を内蔵し、あらかじめハードウェアに組み込まれたソフトウェアで細かく制御することで「はじめチョロチョロ、なかパッパッ、……」を実現しているわけだ。

 これらの機器は、ソフトウェアが機器に組み込まれていることから、「組み込み機器」ともよばれる。

 しかし、炊飯器のようにシンプルなハードウェア制御ならともかく、同じ組み込み機器でも、カーナビや携帯電話では、ソフトウェアは複雑である。ユーザーインターフェースなどで求められるクオリティも、パソコン並みといえる。そのため、効率的なソフトウェア開発を実現するためには、パソコン用と同等のソフトウェアプラットフォームが必要となってきている。

 そこで広く使われるようになったのが、組み込みOSというわけだ。組み込みOSでは、専用機器の機能に合わせてOS自体をカスタマイズすることなども可能である。少ないメモリ容量や限られたCPU性能、小型化の要求といった専用機器特有の要求に応えやすくなっている。また、システム起動やアプリケーション反応時間を限界まで短縮し、リアルタイムでの処理を行うリアルタイム性も重要となる。

 次に、各々の製品の位置付けについて説明していこう。
汎用組み込みOS 車載情報端末用組み込みOS リファレンスハードウェア/ソフトウェアデザインを持つ車載情報端末用ソフトウェアプラットフォーム
Portable Navigation Device(PND) インダッシュ型ナビゲーション インダッシュ型車載情報端末
マイクロソフトがもつソリューションの一部
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