e燃費でも上位独占!ホンダ車、低燃費の秘密に迫る!
清水和夫が解説する最新ホンダテクノロジー TOPICS3
INTERVIEW
今、まさに我々はターニングポイントに立っている
ガソリンと同等のNOx(窒素酸化物)排出レベルが求められるアメリカの「TierII Bin5」を独自開発の触媒を使用することでクリア。これは触媒内に生成されるアンモニアを還元反応に利用したもので、窒素酸化物を窒素に浄化する世界初のシステムである。3年以内にアメリカで市販化予定
環境問題に積極的に取り組んでいるのはホンダだけではないが、ホンダには創業者の本田宗一郎から受け継がれた思想が脈々と流れている。

というのは、世界で初めてマスキー法をクリアしたホンダはその偉業が評価されアメリカ人の心を射止めたが、当時のマスキー法への対応はアメリカでクルマを売るというビジネスが目的ではなく、子供達に青い空を取り戻してあげたい、という純粋な気持ちがホンダの研究者のモチベーションになっていたといわれている。こうした崇高な思想はホンダらしさを産み出し、燃費と環境への取り組みで世界をリードする意志の強い自動車メーカーに成長した。

自動車メーカーはときには公害問題で被告席に座らせられることもしばしばある。最近話題となっている東京都のディーゼル公害訴訟では国内の7メーカーが被告席に座らせられているが、ホンダはディーゼル商用車を開発していなかったので、本件とは無関係だ。もちろん乗用車向けディーゼルエンジンについては、以前より力を入れており、ヨーロッパにおいてはアコードが高い評価を受けていることが日本でも聞こえてくるほどだ。

先ごろも最先端のディーゼルユニットを発表。しかも排ガス規制の本丸であるアメリカでの販売を明言しているのはさすがホンダだ。一般的には、尿素などの酸化還元物質を別タンクにするのが主流になっているが、ホンダの場合はすべて触媒内で浄化を行なうのがポイント。これにより、ガソリンエンジン同等の汎用性も兼ね備えており、今後のディーゼル車促進の大きな武器になるだろう。

ガソリンだろうが、ディーゼルだろうが、内燃エンジンの効率を高め、クリーンにすることは技術進化の必然。ホンダとしては自動車メーカーの責務だと考えているのである。そして将来の水素燃料社会へのビジョンも同時に考えているはずである。
新世代を切り開く、ホンダの技術たち
燃料電池車
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Photo 早い段階から燃料電池車の実用化に成功したホンダが、次世代プロトとして発表し、2005年の東京モーターショーに出品した。このモデルに小型高効率燃料電池システムを搭載し、走行を公開している。このコンセプトカーをベースに新型燃料電池車を2008年に日米でリース販売を開始する
フレキシブル・フューエル・ビークル(FFV)
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Photo自動車のみならず、全産業的に脱ガソリンとしての代替燃料のひとつとして有望視されているのがエタノール燃料。エタノールについてはさとうきびなどの植物を原料としており、CO2排出量は光合成時に取り込んだ量と同等。つまり結果として大気中の二酸化炭素濃度には影響を与えないというのがポイントとなる。エタノール燃料はすでにブラジルなどで普及がかなり進んでいるが、このフレキシブル・フューエル・ビークルはその名が示す通り、ガソリンとの混合だけでなく、エタノール100%でも走行ができるのが大きな特徴だ。つまり再生が容易な天然成分を100%燃料原材料とすることができるわけで、脱石油という点で、大きな意義があるといっていい。こちらもブラジルでシビックFFVを2006年11月に、フィットFFVを同年12月に発売を開始しており、ホンダの先進性をよく表わしている。
進化型VTECエンジン
進化型VTECエンジンは、VTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)を進化させ、バルブのリフト量と開角を連続可変制御し、そのうえでVTC(連続可変バルブタイミング・コントロール機構)による位相の連続可変制御を組み合わせることで、高出力化と低燃費・低エミッションを高次元で両立している。吸気バルブを連続可変制御することにより、運転状況にあわせたリフト量と位相の最適制御が可能となって、吸気の充填効率が向上。回転域全域での大幅なトルク向上を実現している。また、中低負荷領域では、バルブを低リフトとし、早く閉じることでポンピングロスを低減して燃費アップを果たしている。このエンジンを3年以内に量産車に搭載して、販売を開始する計画となっている。
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