ブーレイ テクノロジーといえば私には少年時代の思い出があります。フランスは世界で初めて、超音速旅客機の『コンコルド』を飛ばしました。同時期にポンピドー大統領が、その当時シトロエン傘下だったマセラティに乗って、ルマンを200km/hで走った。ああ、フランスはこういう国なのだと感動しました。
では日本はどういう国かというと、“衝突の世界”ですね。伝統とテクノロジーがぶつかりあう……。とくに東京はこの2つが組合わさってできた都市です。初めて東京に来たときは驚きでした。まさに映画『ブレードランナー』の世界。
フミア うーん、私が日本に初めて来たときの印象もブーレイさんとまったく同感でしたね。
ブーレイ 高層建築のホテルに案内されて、窓から下を見ると昔ながらの町の商店街の灯がまたたいているという。田舎に行けばわらぶき屋根も残っている。身近な例でいえば日本の家庭のリビングルームがそうで、伝統とハイテクが組み合わさっている。この組み合わせがエキソゾティックですね。
フミア 最初はいやでしたが、今では東京に住みたいとさえ思います。
編集部 外国人デザイナーの方が日本的デザインを見つけやすいのでしょうか。
ブーレイ 日本文化を“知っている”かというのであれば、やはり日本人の方が知っています。それは当然です。ただ外国人はツーリストとして接するのですべてが新鮮で、興味の対象になるということでしょう。
フミア 日本に来るたびに発見があるんですよ。日本は未来を作り続けているんです。最近の東京では小さな街を丸ごと新規に作ってしまいます。そういった再開発地区の建築デザインが、日本的イメージのカーデザインを示唆していると思います。
ブーレイ 東京の原宿などに行くと、日本の中でも様々な文化の方向性があると分かります。
フミア 東京はカオスですねえ。
ブーレイ それも秩序のある、ね。
フミア ああ、本当にそうですね。
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