●「新生」三菱にふさわしい新デザイナー起用
――三菱自動車の商品を魅力あるものにするために何をしますか。
エクロート 現在、アメリカ、ヨーロッパ、東京、岡崎の4カ所にあるデザイン拠点を統合いたします。そして、これからの三菱の商品を引っ張るすばらしい人材を見つけることができました。メルセデスがSクラスの上位に位置する高級車『マイバッハ』のデザイナーで、日本での経験も長いフランス人デザイナーです。彼をチーフデザイナーに迎え入れ、魅力あるデザインのクルマをつくっていきます。ここで言うデザインとは、クルマのスタイリングとは別です。デザインとはそのブランドの概念やシステムにまで及ぶ商品そのものなのです。彼なら三菱ブランド再生につながる新しいデザインを見せてくれるはずです。今年の東京モーターショーを楽しみにしていてください。
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――「ターンアラウンド計画」で三菱自動車の再生は可能ですか。
園部 「ターンアラウンド計画」を発表して以降、エクロート氏とふたりで、工場、技術センター、ディーラー、サプライヤーに対する「ターンアラウンド計画」の説明に、“ロードショー”と称しましたが、全国各地を回りました。「ターンアラウンド計画」をいっしょに取り組んで三菱自動車を再生させようという意気込みを十分に感じとることができました。「ターンアラウンド計画」についてはマスコミの皆さん、アナリストの皆さんからも評価をいただいておりますので、自信を持って「ターンアラウンド計画」に取り組み、目標を達成したいと思っております。
※これについての安田有三氏の解説
エクロート 「ターンアラウンド計画」については実行あるのみだと思っています。ただ、資材費の削減とか、固定費の削減とか、工場の閉鎖など、いわゆるリストラばかりに目が向けられがちですが、私は魅力ある商品づくりを通じて、三菱自動車の新しいイメージづくりをすることが「ターンアラウンド計画」の中のもっとも重要な要素であると考えています。したがって、コスト削減目標の達成だけをもって「ターンアラウンド計画」の目標が達成されたと考えるのではなく、どのような商品を出して、どれくらいの売上げをあげられるかによって、「ターンアラウンド計画」が成功したかどうかを判断すべきだと思っています。三菱自動車は園部社長の下、大きく変わろうとしています。古い経営陣の6割が入れ替わり、新しいマネージャーが仕事に就き、経営陣が若返っています。私のチームの5人、かなり高い層の5人ですが、うち3人は36歳です。三菱自動車を新しい会社に変革させ、しかも大きく成長することを狙ったのが「ターンアラウンド計画」です。成果を期待してください。
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1964年、慶應義塾大学経済学部卒業後、新三菱重工業・名古屋自動車製作所入社。1992年、三菱自動車工業・海外本部北米部長となる。以後、常務取締役・乗用車北米本部長(1999年)、代表取締役副社長・上級執行委員(2000年6月)を経て、代表取締役社長・最高経営責任者(2000年11月)就任。現在に至る。 |

1966年「Daimler-Benz」入社。1987年「Mercedes-Benz」乗用車計画・生産担当ディレクターとなる。1992年、「Mercedes-Benz do Brazil」社長就任。以後、「DaimlerChrysler Rail Systems」「Adtranz」社長兼CEO(1998年)を経て、2001年1月、三菱自動車工業代表取締役副社長・最高執行責任者(COO)就任。 |
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<関連記事>
【シリーズ:安田有三トップインタビュー】
・日本経団連 奥田碩会長(2002年8月)
・富士重工業 竹中恭二社長(2001年8月)
・三菱 園部社長+エクロート副社長(2001年4月)
・ダイハツ工業 山田隆哉社長(2001年3月)
・日野自動車 湯浅浩社長(2001年3月)
・三菱ふそうトラック・バスカンパニー 村田有造社長(2001年2月)
・いすゞ自動車 井田義則社長(2001年2月)
・スズキ株式会社 戸田昌男社長(2001年1月)
・日産自動車 塙 義一会長(2000年12月)
・トヨタ自動車 張 富士夫社長(2000年11月)
・いすゞ自動車 稲生 武社長(2000年7月)
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