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インタビュー/コラム:企業人
[an error occurred while processing this directive] 【安田有三トップインタビュー Vol.7 (前編)】“ハイブリッド”トラックビジネスへ---日野自動車 湯浅浩社長
――「指名解雇という厳しい手段も避けられないかもしれない。大を生かすために小を殺すのも仕方ない。もちろん、そうなったときには、経営者として責任を取って社長を辞める覚悟だ」と湯浅さんが語ったほど、社長に就任した1997年ごろ(当時は日野自動車工業。1999年10月1日に日野自動車販売と合併し、現在の日野自動車に)から日野自動車の業績は急速に悪化しましたね。

湯浅 景気の低迷で国内積載量4トン以上の大型(普通)トラックの全体需要が1998年度は、約8万台で、ピーク時の約半分にまで落ち込んだことが大きく影響しました。1998年度3月期決算では、上場以来初めての赤字に転落してしまった。

――そこで湯浅さんは1999年3月に、解雇を含めた人員削減や、1997年度1300億円あった固定費を2000年度に900億円以下に減らすことを柱にした経営再建計画を打ち出しましたが、成果は出ましたか。

湯浅 人員削減については目標の8割程度ですね。2割はできなかった。ですから、人員削減についてはまだ課題として残っているということです。固定費は950億円まで削減しましたが、目標の900億円は達成できませんでした。というのは、1999年当時と状況が大きく変わったからなんです。固定費のかなりの部分は研究開発費です。ご承知のように、2007年に実施されることになっていたディーゼル車の排出ガス規制が2005年度に前倒しされて実施することになり、また、東京とのディーゼル車規制が加わったことで、それらの規制をクリアするための研究開発費がある程度どうしても必要なんです。その部分が上積みされた結果、950億円という数字になったわけです。目標の固定費900億円を無理にでも達成しようと思えば、できなくはありませんが、そのためにはさらなるリストラが必要で、これまで以上に社員に辛い思いをさせることになり、社員のモラルダウンにつながりかねない。失うものの方が大きいという判断で、あえて目標を達成しませんでした。

――再建計画の中で販売会社の統合を打ち出し、今年4月1日から、これまでの52社から43社体制になり、2002年度には全販売会社の黒字化を目指すことになりましたね。販売会社の統合は、経営の効率化や財務体質の強化を図れるというメリットがありますが、いっぽうでデメリットはないんですか。

湯浅 もちろんあります。私たちのお客さんは、物流会社などトラックを使って会社を経営しています。日本には大小合わせて約5万の物流会社がありますが、ヤマト運輸さんや佐川急便さんなど一部の大企業を除くと、約90%が中小企業。この中小企業の社長さんにトラックを売るわけです。トップセールスなんですね。お客さんである社長さんにお会いしたときには、物流の全般的な話もしますし、トラックをどれくらい運行してもらえば、もっと効率のいい運行ができますとか、こういった走りかたをするともっと燃費が良くなりますとか、経営に直接関わる事柄をアドバイスしながらの営業になります。お客さんが経営に関わるアドバイスを望んでいらっしゃるんです。ですから、販売会社の誰が対応するかが重要で、社長なのか、専務なのか、あるいは肩書きの無い従業員なのかによってお客さんの反応が違ってきます。ウチには肩書きの無いセールスマンが来たのか、俺の会社を軽視しているんじゃないかという世俗的な嫌悪感をもたれる可能性もある。トップセールスで築きあげてきたお客さんとの信頼関係が、販売会社の統合によって、これまでの担当者が替わってしまうことがあれば、崩れてしまうこともありえる。これが販売会社の統合によるデメリットです。これまで築いてきたお客さんとの信頼関係を損なわないように、販売会社の統合を進めなければならないと、いちばんに気にかけてきました。

――固定費の削減、人員削減、販売会社の統合などのリストラを湯浅さんが進めてきたことで、2001年3月期の連結業績見通しでは、売上高が7120億円、経常利益が18億円、当期利益が107億円の赤字と、業績的にはかなり好転してきましたね。

湯浅 昨年5月に発表した2001年3月期の業績見通しに比べ、売上高は260億円増加しましたが、経常利益、当期純利益はそれぞれ32億円、29億円、悪くなってしまいました。これは、日野自動車グループの財務体質を一層強化するために、グループ各社の不良債権や不良資産をほぼ完全に処理した結果なんです。


《写真=石田真一》

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