草食派に鞍替えしたのかと思わせるようなデザイン&ユーティリティに内心ちょっと心配。ところが、走り出したら中身はちゃんと本格派だった。
ワインディングを走ってみて大きさを感じさせないことに驚いた。長い間『エクスプローラー』の印象と言えば上から目線とボリューム感のあるフォルムで、よく言えば重厚さが持ち味である反面、その重さによって走りはとってもゆるーい感じだった。
旧型の、あの生真面目でちょいとばかり野暮なデザインと荷物を沢山積んだら超安定する乗り味がボクは大好きだったものだから、新型のどこかリンカーンっぽいモダンなスタイルと乗用車的なユニボディ構造への変更に、いささか面食らいつつ、試乗会へと出向いた。
『エクスプローラー』というクルマの出来が悪いわけがない。というのも、こいつはSUVでは全米No.1の人気モデルで、絶好調のときは年間40万台以上売られていた。つまり、フォードのドル箱であり、その出来次第で会社の経営状態が変わるほど大事なモデルなのだ。
メル・ギブソン主演でヒットした映画『マッドマックス』(1979年公開)。作品中に登場した『V8インターセプター』(『ファルコン』ベース)が、新たなコンセプトで甦った。
魅力の第一は、おしゃれ度の高いエクステリア。精悍でモダーンなデザインでスポーティなイメージに仕上げている。
モーターボートで波を越えるように、不整地のギャップなどをものともせずグイグイ乗り越えていく力強さ。これがフレームシャシーを持つSUVの大きな魅力だった。
フルモデルチェンジを受けた新しい『エクスプローラー』はプラットホームを変更するなど、大幅な改良を受けて登場した。これまでのトラック系から乗用車系のプラットホームを採用することで、走りのフィールが格段に向上したのは言うまでもない。
明らかに、何もかもが新しい。けれども確実に、『エクスプローラー』20年の歴史の延長線上にある味わい。
大変身の『エクスプローラー』である。従来のボディ・オン・フレーム(セパレート・シャシー)に換えて、『トーラス』の横置きFFプラットフォームをベースとするモノコックボディを採用。それに伴って、デザインもぐっとモダンに進化した。
真昼の白日夢。某スカイラインをボクは英国製の5Lスポーツサルーンで快調に走行していた。わずかな直線路。追い越し禁止のイエローラインが途切れた時、後方から黒い大型のSUVが恐ろしいほどのスピードで迫ってきた。