旧型より180mm長く、150mm幅広くなり、プラットフォームまで『ルーテシア』用から格上の『メガーヌ』用にスイッチした新型『カングー』。こんなに大きくなった理由は、ヨーロッパで商用車として使われていることと関係がある。
旧型は現地の輸送用パレット(1200×800mm)を積めないことが後発のライバルに対する欠点で、それを克服するための拡大だったのだ。それでもサイズアップが気になる人は、これをカングーではない、ひとクラス上のクルマと考えればいい。そうすれば好感度が一気にアップする。
頭上の収納スペースやがっしりしたパーキングブレーキといった機能重視の作りは使い込むほど愛着がわくし、街中から高速までまろやかな乗り心地は国産ミニバンには求めても得られない世界。エンジンは1.6リットルのままだから加速は必要充分だけれど、MTを選べばパワーを使い切って走れる爽快感が味わえる。
しかも値上げを最小限に抑えたおかげで、価格は本国より安い。幅1.8m級のミニバンが200万円ちょっとで買えるのだから、国産車からの乗り換えが増えそうだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
森口将之|モータージャーナリスト
試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)、『パリ流 環境社会への挑戦』など。