パナソニックの社内ベンチャー「eスター」は6月から、工場から出る排熱を利用して発電する「排熱回収スターリングエンジン」の実証実験をパナソニック・ホームアプライアンス社奈良工場で開始した。稼働中の工場を利用して信頼性の検証を行い、2011年度に商品化することを目指す。
eスターでは2005年から海上技術安全研究所と共同で、スターリングエンジンを開発してきた。排熱回収スターリングエンジンは、工業炉(乾燥炉、溶融炉、熱処理炉など)、発電設備、ボイラー、原動機などから排出される300 - 650度の排熱を利用可能で、15%の発電効率を実現した。今回、奈良工場で高圧空気供給設備内の排気ガスの屋外煙道に本エンジンを装着し、約300 - 500度の排熱の一部を利用して500Wの発電を行う実証実験を開始した。
稼働中の工場設備の排熱を利用して発電するスターリングエンジンの実証実験は、世界でも珍しい。
今年度中には、実用化を前提とした約5 - 10kWの発電ができるエンジンを開発、実証実験を行い、生産現場でのCO2排出量の削減に貢献できるエンジンとして2011年度の商品化に向けた取組みを進める。