富士経済は、環境に配慮する新技術を用いた電力・エネルギーシステムが各分野で急速に実用化する中、現状及び将来性について調査し、その結果を報告書「2009電力・エネルギーシステム新市場(上・下巻)」にまとめた。
調査では、太陽電池、燃料電池、二次電池・電力貯蔵システム、熱源機器、自家発電システム、電源品質対策機器、風力発電/バイオマス等、照明機器、電動自動車関連、空調・冷暖房機器、電力系統制御関連機器の電力・エネルギーシステム11分野と、その関連部材や関連品目について、現状の分析を行うと共に2017年度までの市場を予測した。
報告書によると電力・エネルギーシステム11分野の国内市場で、2017年度に2008年度比で最も高い伸長率が予測されるのは燃料電池としている。住宅のオール電化率が徐々に高まりを見せる中、ガス会社や石油会社が対抗戦略として、2009年度から家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」の販売に注力していくことなどが要因に挙げられる。また、太陽電池も今後の成長率、市場規模共に高い値が予測される。
11分野のうち、二次電池・電力貯蔵システムは、NaS電池、鉛電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ、ハイブリッドキャパシタを対象とした。2009年度の市場は前年度にNaS電池で大型案件のあった反動で縮小したが、今後はリチウムイオン電池の大幅増を受けて市場拡大が予測される。
リチウムイオン電池の成長用途としては、主に国内で生産されるハイブリッド自動車や電気自動車などの大容量製品市場で、2015年度以降に急速な市場の拡大が推測される。ニッケル水素電池はハイブリッド車、電気二重層キャパシタは建設機械やフォークリフト、NaS電池は風力発電や太陽光発電の出力平準化としての需要拡大が見込まれる。
リチウムイオン電池の市場予測では、2008年度の350億円が、2017年度には1060億円と、3倍に拡大すると予想している。