【メルセデスベンツ Eクラス 新型 海外試乗】直4ターボが好印象…河村康彦

試乗記 国産車
【メルセデスベンツ Eクラス 新型 海外試乗】直4ターボが好印象…河村康彦
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『S』と『C』という、上下に隣接する兄弟との遠方からの差別化を明確にすべく(?)、今回もメルセデスのセダン・シリーズの中では唯一の4灯式ヘッドライトを採用した『Eクラス』。実際に触れてみれば、その仕上がり具合は「ほぼ予想をした通り」と言えるものだった。平たく言ってしまえば、「その外観同様、大きな驚きを感じる事はなかった」のが新型Eクラスの走りのテイストだ。

スペインはマドリッド近郊で開催された国際試乗会では、まずはガソリン・モデルのトップモデルとして設定された「E500」をテストドライブ。最高388hpを発するV8エンジンは当然どのような回転数でも「溢れる余裕」だし、エアサスペンションが実現のロードノイズ遮断性とフラットライドも驚愕のレベル。ちなみに、この期に及んでパーキング・ブレーキが足踏み式だったのには逆の意味で驚いたが、これは「万一電気系統が失陥した場合でも正常に作動させる」との意味を込めて意識的な選択だという。

次に乗り換えた「E350CGI」は、リーンバーンを行う直噴V6エンジンを搭載。こちらも加速の能力に不満ナシなのは、0 - 100km/h加速は6.3秒でクリアするというデータからも裏付けられている事。こちらはコンベンショナルなメカニカル・サスペンションが標準だが、細かな路面凹凸は多少敏感に拾うようになる一方で振動の減衰はエアサスよりもドライな感触。E500同様7速ATを組み合わせるが、やはりこちらもマニュアル操作時のレスポンスがやや鈍く、ダウンシフト時に“回転合わせ”をやってくれない点は、ライバルの進歩を見るとそろそろ不満のポイントか。

最後に乗った「E250CGI」は、メルセデス・ベンツ車で初とも言える“ダウンサイズ・コンセプト”に基づいた、リーンバーン直噴システム採用の1.8リットル4気筒ターボ・エンジン搭載車。残念な事にコスト的な要因からか、この心臓に組み合わされるATは5速仕様。ゆえにアップシフト時にトルクの落ち込み感が大きめなのは難点だが、一方でエンジンそのもののトルク特性はまるで「6000rpmまで回るディーゼル」という程のフラットさ。3500rpm以上では4気筒ならではのノイズが響くが、こちらも加速力そのものには不満はない。

その他、先行車/対向車をカメラで検知してヘッドライト光軸を自動的に調整する“ハイビーム・アシスト”や、路上の速度制限標識をカメラで読み取ってメーターパネル内に表示する“スピードリミット・アシスト”、様々なパラメーターを用いてドライバーの眠気を検出し警告する“アテンション・アシスト”など、またまた周辺ライバル各車の規範となりそうな様々な機構を新設定したのも大きな話題。そうそうこのモデル、シートレベルを着装するとその“たるみ”を取るために1度締め付け力を増すものの、そのパワーが余りに強くて一瞬窒息させられそうになる(?)のは要改良点か…。

■5つ星評価
パッケージ:★★★★       
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。ワールド・カーオブザイヤー選考委員、インターナショナル・エンジンオブザイヤー選考委員。

《河村康彦》

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