5日早朝、「アップルCEOステーブ・ジョブズからの手紙」というメッセージがアップルのウェブサイトを通じて掲載された。
5日はMacworld 2009の開幕日にあたり、ジョブズCEOは自分の健康不安説に惑わされることなく「明日からのショーをリラックスして楽しんでほしい」という意図から、自らの病状を伝えることに決めたとそのメッセージで語っている。
健康不安説は、2008年に行われたジョブズの数回のプレゼンテーションでどんどん痩せてゆく姿と2005年のスタンフォード大学の有名な卒業スピーチで膵臓癌を克服したことを告白していることを結びつけて噂は広がった。またジョブズCEOおよびアップルは健康に関する質問をかわし続けてきたことにくわえ、昨年12月16日にMacworld 2009の基調講演をマーケティング担当のフィル・シラー副社長が行うことが発表されたことが、「健康が急速に衰えている」という噂記事に繋がっていた。
今回のジョブズCEOの病状告白は以下の通り。「2008年のあいだ原因不明で痩せ続けていたが、精密検査の結果、数週間前にやっとホルモンのバランス異常であることが突き止められた。その治療は単純であり、専念し始めたところすでに体重減少がとまるなど回復の兆しがみえている。この10年間、年末はいつもMacworldの準備で忙しかったが昨年末のホリデーシーズンはおかげて家族とゆっくりすごすことができた。治療は春いっぱいまでかかる見通しだ」。
つづけてジョブズCEOは、アップルの取締役会に自分がこのままCEO職に留まるべきかどうか決定してもらうとしている。また今後も(病状について)すべてを語ってゆくとしてメッセージを閉じている。
一方、アップルのウェブサイトではジョブズの書簡を掲載すると同時に取締役会の声明を掲載している。「世界でジョブズがもっとも有能で効果的なCEOであることは社内外が認めるところ。CEO職を辞めたいか続けられないかはジョブズ自身がわかるはず。取締役会はジョブズCEOの病状の回復期間中もしっかりと彼を支持します」。
市場も歓迎し、先週終値よりもDowが0.91%、Nasdaqが0.26%それぞれ下げる中、アップル株は4.22%上昇した。
ちなみに、5日から始まったMacworld 2009だが、一部カンファレンス以外はまだ準備中。Expo会場も設営まっただ中だ。6日のフィル・シラーアップル副社長の基調講演で本格的に始まる。
フィル・シラー氏が基調講演をする理由として流れたふたつの噂のひとつ、ジョブズ不健康説はうれしい方向で的中した。するともうひとつの噂「Macworldで発表すべきネタが小さい」は消滅したことになる。ジョブズが復活する春まで、アップルもいっしょに冬眠と揶揄されないような強力な話題が提供されるだろう。