【F1日本GP】リスクマネージメントのプロフェッショナル…F1事業本部長 高瀬由起夫氏インタビュー 前編

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【F1日本GP】リスクマネージメントのプロフェッショナル…F1事業本部長 高瀬由起夫氏インタビュー 前編
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昨年に続いて「F1日本グランプリ(10月10 - 12日)」を開催する富士スピードウェイ(FSW)に、今年1月、切り札ともいえる人物がトヨタから投入された。F1事業本部長に就任した高瀬由起夫氏(取締役副社長兼務)である。

大混乱に終わった昨年の失態を繰り返さないために送り込まれた高瀬氏、ひとことで評するならば「“最悪”を想定して、ものごとを考えることができる人」だ。なぜ、そう思えるのかは、高瀬氏のトヨタでの“キャリア・ダイジェスト”を知るだけも納得していただけるだろう。

「1992年からは5年ほど、米国ケンタッキーの工場で法務の仕事をしていました。ただ、法務そのものの仕事は1割程度で、日本人スタッフが少なかったりしたものですから、なんでも屋でしたね。張さん(富士夫氏。99 - 05年のトヨタ社長、現在は会長)が日本に帰る際には、“卒業論文”のまとめを手伝ったりもしました」

高瀬氏はその後、日本に帰ってきてからも法務畑を進み、「法改正に対する企業倫理ですとか、企業としての行動指針の策定などもやりました。FSWに着任する前の直近3年ほどは、リスクマネージメントや機密管理に関する仕事をしていました。東海地震対策、株主総会対策もやりましたね」。

大地震で社内外の通信手段に問題が発生しそうな場合の「どういう優先順位で、どの通信手段を使うのか」といったルールをつくる際には、「やってみないとわからない」ということで、実際に衛星電話などのテストを行ない、スタッフの訓練も徹底してやったとのこと。また、「株主総会の後のイベントはどうするのか。会場は? 移動は? といったことも考えましたね」。

賢明な読者諸兄ならおわかりの通り、今年の日本GP開催のために必要そうなノウハウと経験をすべてもっている。そういう人物なのだ。しかも、「やってみなければ、わからない」という思想をもっていることが大きい。実際、今年はすでに人を使ってのシミュレーションや工事進捗状況などの公開が複数回に渡って実施されており、“実践思想”は確実に具現化されてきている。

「(自身が着任する前の)昨年の日本GPに関しても、机上で見ると、計画はよくできていたと思うんです」と高瀬氏。ところが、雨が降り、道路が陥没し、一部指定席ではコースを走るが見えない事態が勃発し……。

「結局、みんなが陥没箇所の修復に一所懸命になってしまったりして、“判断する人”がいなくなってしまった。一所懸命やったのにあんなことになってしまって、みんなが悔しい思いをしたんですね、昨年は」

要するに、素人のサッカーのような状態だったのだ。ボールのあるところに全員が集まってしまった。それが敗因だった。(後編に続く)

《遠藤俊幸》

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