『IS』のボディに『GS』や『LS』系のV8エンジンを積んだだけのスーパーセダンではなく、実質的には丸ごと新型といえるほど気合が入っている。新開発のシリンダーヘッドを担当したのがヤマハというのも、マニアの心をくすぐる大きなポイントだ。
このエンジン、パワーがあるのはもちろんだが演出も入念で、中速域からの吹け上がる瞬間、予想をはるかに上回る激しいサウンドでドライバーを驚かせる。
足まわりの味付けは高性能FR車の典型。アクセル操作でどのようにでも姿勢を制御できる楽しみがある。それでも厳重な安定維持装置が仕込まれているから、攻めすぎても危険な状態にはならない。真綿で首を絞めるようなブレーキの効き味も文句ない。
自慢の8速ATも、トルコンのロックアップ領域が広いので、MT並みのレスポンスを満喫させてくれる。もちろんレクサスだけに装備は充実しており、必要とあらばフォーマルにも使えるのが魅力。これ1台で何にでも使える万能の高級車だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★☆☆
熊倉重春| モータージャーナリスト
東京・焼け野原の戦後第一期生。25年間クルマ雑誌に勤めて何でもやったので、フリーのジャーナリストになった今でも何でもやる。いや、クルマのことなら何でも首を突っ込みたがる。今最大の関心事はエネルギー問題。