【分析】世界的に人気のPNDは日本市場で根付くのか

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世界的にPND(パーソナル・ナビゲーション・デバイス)の勢いが止まらない。昨年は全世界で1000万台が発売され、以前には“カーナビ不毛の地”とまで言われた北米でさえ、300万台を超えるヒット商品に成長しているという。もはや、欧米では「ナビ」と言えば、このタイプを指すまでになっているようだ。

日本でも昨年あたりから続々とこのタイプの商品が登場し、三洋が『miniGORILLA』の名前でメモリ型ポータブルナビを発売すると大ヒットとなり、その知名度を一気に上げた。それまで、日本ではナビと言えば年々高機能化が進むものが当たり前とされていたが、機能を抑えたものでもポイントを押さえたものであればヒットする可能性は充分あることを証明して見せたのだ。

では今後PNDは日本市場でも順調に伸びていくのだろうか。結論から言えばそれは「Yes」である。ただ、日本では海外と違って普及するための条件がいくつかある。ひとつはTV機能の搭載である。日本人は無類のTV好き。そんな事情を反映して、日本のカーナビはこれまでずっとTV機能を搭載するのが当たり前で、ナビを使わないときは車載TVとして使われることが多かったのだ。

それは大ヒットしている三洋miniGORILLAの販売結果からも見ることができる。miniGORILLAには、話題の地デジ放送が手軽に見られるワンセグTVチューナーを搭載したモデルと非搭載モデルが用意されたが、その販売比率は9割以上がTVチューナー搭載モデルだったとまで言われる。カーナビ機能は常に必要なわけではない。カーナビとして使わないときはカーTVであって欲しいというのが日本のユーザーの心理なのだ。

それともう一つ、VICS機能の搭載も重要なポイントである。欧米のPNDではRDSと呼ばれるデジタル情報サービスによってテキストを使った交通情報の表示機能を搭載するモデルが増えている。日本ではVICSによって交通情報の表示が可能である。渋滞が激しい都市部で使うにはこの機能の搭載は欠かせないと思われるが、日本ではこれに対応したモデルが登場していない。とくに渋滞回避が可能となる光ビーコンはPNDと言えども一体化する工夫などを凝らして、PNDの特長を生かしたスタイルで何とか採り入れていくべきだろう。

日本人はもともと高機能タイプを好む傾向にあるが、より高機能を求めるユーザーはHDDナビなどに求めていくと思われるものの、現実にはもっと手軽に実用性の高いTV付カーナビを欲しがっている声も多い。この2点を押さえるカーナビが登場したとき、おそらくPND市場は日本でも爆発的に膨らんでいくものと予想される。

今年に入ってクラリオンがPND市場に参入したように、他メーカーからもこの分野への参入が予想されている。ただ、PNDは価格競争がこれまでになく熾烈になることは容易に想像できる。事実、クラリオンのPNDは2GBのメモリを搭載して市場予想価格は5万円前後としており、この価格は間違いなく日本におけるPND市場を左右していく。

こうした中で生き残っていくには、これまで高機能ナビで培ってきた使いやすいインターフェイスを上手にPNDに活かしながら魅力的な機能をPNDにいち早く上手に詰め込んでいくことが欠かせない。なぜならナビ初心者が多い欧米人とは違って日本人は高機能で使いやすいナビを既に知ってしまっているのだから……。

《会田肇》

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