ショベルカー落下事故「組織の責任」

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2004年10月に神奈川県横浜市戸塚区内の市道トンネルで発生したショベルカー落下事故について、トンネル構造の欠陥を知りながら対策を先延ばしにしたとして、業務上過失致死罪に問われた51歳の市職員の男に対する判決公判が21日、横浜地裁で開かれた。裁判所は求刑が行われた禁固ではなく、罰金刑を言い渡している。

問題の事故は2004年11月30日の午前7時55分ごろ発生している。横浜市戸塚区戸塚町付近の国道1号線の下を通る市道トンネルで、31歳の男が運転する普通トラックが通過しようとした際、荷台に積んであった小型パワーショベルがトンネル入口付近に設置された高さ制限を示す金属製のゲートへ接触、小型パワーショベルが落下してトンネル内を歩いていた65歳の男性がその下敷きとなり、間もなく死亡した。

現場では高さ制限ゲートがトンネル手前で斜めに設置される特異な状態で、これが構造的な欠陥となってゲートに接触したクルマがトンネル壁面の歩道側に傾斜する特性を持っていた。事故が相次いでいたことから近隣の住民はこの危険性をかねてから指摘。トンネルを管理する横浜市戸塚土木事務所に対して2回の陳情を行っていた。

21日に行われた判決公判で、横浜地裁の松尾昭一裁判長は「被告は事故発生の危険性を認識しながら1年以上も放置した」と認定。「市民の生命の安全にかかわる公務に従事する自覚に欠けると評されても止むを得ない」と指摘した。だが、その一方で土木事務所の組織としての問題を指摘。「被告だけに責任を負わせるのは正義に反する」として、被告に対して罰金20万円の判決を言い渡した。

《石田真一》

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