直線路の飲酒運転起因事故で、危険運転罪の適用を見送り

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2004年8月、飲酒運転中に車線逸脱を原因とする正面衝突事故を起こし、対向車に同乗していた女性を死亡させたとして業務上過失致死傷と道路交通法違反(酒気帯び)の罪に問われた26歳の男に対する判決公判が3月29日、広島地裁で開かれた。裁判所は懲役5年の実刑を命じている。

問題の事故は2004年8月18日の午後10時15分ごろに発生している。広島市西区福島町1丁目付近の県道で、猛スピードで走行していた24歳(当時)の男が運転するクルマが対向車線側に逸脱。順走していた対向車と正面衝突した。この事故で双方のクルマは大破し、順走側のクルマに同乗していた24歳の女性が死亡した。

逸脱側のクルマを運転していた男は業務上過失致死傷容疑で逮捕されたが、事故当時は酒に酔った状態で、同乗者の制止を振り切って運転していた。また、制限30km/hの道路を80−90km/hの高速度で走行したほか、すぐにはブレーキが踏めないような乗車姿勢(シートで胡坐を組む状態)でクルマを運転していた。

このため、死亡した女性の遺族は検察と裁判所に対して危険運転罪の適用を要請。約1万人の署名を集めたが、事故が起きた現場は見通しの良い直線区間であり、危険運転罪の適用基準に「直線区間で発生した事故の適用除外」が定められていることから、適用は見送られている。

3月29日に開かれた判決公判で、広島地裁の田辺直樹裁判官は「事故の原因は被告の飲酒運転」と認定。危険運転罪の適用はせず、業務上過失致死と道交法違反の併合罪で懲役5年の実刑を命じている。

《石田真一》

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