パトカーから逃れようとして事故、責任は警察?

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警察(パトカー)からの逃走中に原付バイクで転倒事故を起こし、重度の障害を負った18歳の男性とその両親が、鳥取県を相手に総額約6100万円の損害賠償を求めた民事訴訟の第1回口頭弁論が26日、鳥取地裁で開かれた。被告となった県は全面的に争う姿勢を見せている。

問題の事故は2004年6月22日に発生している。同日の午後6時35分ごろ、倉吉市内の国道179号線で、ヘルメット未着用の男性(原告)が運転し、蛇行を続ける原付バイクをパトロール中の鳥取県警・倉吉署員が発見。パトカーによる追跡を開始した。

その後、逃げる原付バイクは対向車線に進入。パトカーもこれに追従したが、バイクは約1km離れた倉吉市米田町2丁目付近で対向車と正面衝突する事故を起こした。男性は転倒した際に頭を強打。今も意識障害や運動障害などの後遺症が確認されているという。

原告側は「違反は軽微なものであり、交通量の多い夕方にパトカーが逆走してまで追跡する緊急性は無かった」と主張。「無理な追跡を行えば事故が発生することも容易に予見ができた」、「警察は軽微な違反にも関わらず無理な追跡を続け、運転者を危険に晒した」とも主張し、警察を管理する鳥取県に対して総額約6100万円の損害賠償を求める民事訴訟を提起した。

26日に開かれた第1回の口頭弁論で、被告となった鳥取県側は全面的に争う姿勢を見せた。証拠として原告男性が乗っていたバイクの写真などを提出。ナンバーが故意に折り曲げられて所有者の確認ができないことや、事故を起こす前にも対向車線進入を起こしたことを指摘。「追われて進入したのではなく、原告自らが進入した」とも指摘している。

パトカー追跡を起因とした事故での損害賠償請求は全国で相次いでいるが、多くは追跡によって被害を受けた第三者が原告となるもので、被追跡者である容疑者自身が原告となって訴えるケースは珍しい。この場合の警察、検察の解釈は「逃走せず、ただちに停止していれば事故は防げた」というものであり、容疑者自身が警察に追われた責任を追及するのは困難が予想される。

《石田真一》

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