まず、製品企画のeビークルカンパニー ビジネス戦略部商品企画1課プロダクトプランナーの塚田武志氏が『MEX-R1』のコンセプトを次のように説明してくれた。
「MEX-R1は、ソニーが満を持して発売したDVDマルチディスクプレーヤーです。家庭のCDプレーヤーがほとんどDVDマルチディスクプレーヤーになったと同様に、車内の光学ドライブもマルチディスクプレーヤー化されていくと考えています」
「したがって、MEX-R1はマルチディスクプレーヤーの裾野を広げるという意味合いで作ったモデルです」
MEX-R1のポイントは、家の中でDVDレコーダーで録画したディスクも、クルマの中でシームレスに扱えるようにしたということ。
DVDのマルチディスクフォーマットに対応し、車載機では初となるCPRM(デジタル放送録画ディスクの再生)に対応しているのが最大の特徴。つまり、DVDレコーダー(ソニー製品で言えば「スゴ録」)で撮ったデジタル放送の番組をそのまま再生できるのだ。
塚田氏は、「ソニーはカーオーディオ専用のメーカーと違い、車載のDVDプレーヤーだけでなく、家庭向けのDVDプレーヤーも作っていることから、家とクルマは同じプラットフォームというか、当然つながるプラットフォームであるべきと考えています」と強調した。
MEX-R1では、最新世代のICを駆使して作られているという。設計者のソニーイーエムシーエスのeV設計1部設計3課統括係長の加藤直樹氏は、「DVDプレーヤーに使っているICは、簡単に説明するとDSP(デジタル信号処理回路)のお化けのようなもの」という。
「機能は、ハード部分で決まるところもあるが、ほとんどはソフトで決まります。他社でも同じICを使っているメーカーもありますが、搭載機能は全く違うものになります」と解説した。
また加藤氏は、「最新のICを統合することで、機能は増えるのに値段は下がるし、音質も上がる」というメリットがあり、「このICで出来ることは、ほぼ引き出している」と価格を超えた機能と音質を目指したと語る。
MEX-R1は、ほかの部署が作ったDVDのノウハウが8割、クルマへの対応が2割で作られている。したがって、カーエレクトロニクス部門は、1から作る必要がないのだ。
この点について、加藤氏は「AV機器や家電も作っている、ソニーの強みです」と語る。他部署との連携も頻繁に行っているとのこと。
各種DVDメディアの動作検証は、同社のスゴ録シリーズのラインアップをはじめ、他社製DVDレコーダーの売れ筋製品も購入してテストしたという。加藤氏は「ソニー製品で録画したDVDは再生できて当たり前。他メーカーの主要製品についても検証している」とコメント。
さまざまなDVDの規格があることについては、「例え、ユーザーがDVDの規格について知らないとしても、記録したDVDが再生できないのではいけない」と規格乱立のメーカーの都合をユーザーに感じさせない商品に仕上げる必要性を強調する。