ケンウッド『HDM-555』はアップル『iPod』連携を実現した初のカーナビゲーションだが、実はトピックスはそれだけに留まらない。
OSには『Windows Automotive 4.2』を採用し、同社製品としては久々のプラットフォーム一新を遂げたこともトピックのひとつだ。
Windows Automotive 4.2を採用したモデルについては昨年11月、高齢者福祉施設などに強固な販路を持つグラファージという会社と提携。施設が有する送迎車両向けに用途を絞った『HDM-777』というモデルを開発。これが採用第一号モデルとなった。
HDM-555は、HDM-777をベースにiPod連携などのマルチメディア面を強化したもので、同社製としては初めて本格的に市場投入されたWindows Automotive 4.2モデルという位置付けになる。
また、HDM-777は拡張に非対応だが、HDM-555は拡張機能(iPod連携)に対応しているのは前述のとおり。この部分についてはソフトウェアレベルではなく、ハードウェアレベルで行っているため、両機の差異はここに存在していることになる。
プラットフォームは一新したが、ケンウッドとしては「OSはあくまでも裏方の存在である」として、カタログや店頭などで表立ったアピールはしていない。HDM-555にWindows Automotive 4.2が採用されているという“証”は、本体右側のWindowsマークだけだ。
ナビ機能はビギナー向け。どちらかといえばハイエンド寄り志向だったこれまでのケンウッド製ナビとは一線を画す。
カロッツェリア『楽ナビ』や、パナソニック『ストラーダ』など、他社製品に向かいがちだったビギナーユーザーを積極的に獲得していこうという同社の狙いが見える。「HDDスマートNavi」という愛称の採用もこのあたりに理由がある。
ケンウッドの小川智也さんは「他社との協業ではなく、独自に新規プラットフォームを立ち上げたという意義は大きい。将来的にはWindows Automotive 4.2を採用したハイエンドモデルの開発も視野に入れています」と説明している。