自動車発明家のジョン・デロリアン氏が19日、心臓発作のため死去した。80歳だった。デロリアン氏はラジカルで未来的なクルマを作るためGMを退社し独立、現在でも通用するモダンなデザインを発表した。
デロリアンカーの名前を知らない人でも、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシン、と言えば誰でもその姿を思い浮かべる事ができるだろう。
デロリアン氏は1956年にGMに入社、40歳の時にはポンティアック部門の長として、自動車歴史家の間で「最初のマッスルカー」と呼ばれるポンティアック『テンペスト』にV8エンジンを搭載した『GTO』を生み出した。
しかし独立後は、奇抜なデザインは評価されたもののクルマは売れず、1982年、デロリアン氏は総額2400万ドル分ものコカインの密輸容疑で起訴された。これは自らの会社の資金難を救うために、麻薬取引に手を出してしまった結果と言われているが、デロリアンモーターカー社は翌年倒産。
それでもデロリアン氏のクルマ作りに対する情熱は失せず、個人的にも1999年に自己破産しているのだが、なお「ボディがオールプラスチックのスポーツカーを作る」という夢を語り続けた。
生き方としては波瀾万丈だが、クルマへの深い理解と斬新なアイデアを持っていたデロリアン氏には、デトロイト周辺にファンも多い。アメリカのピュア・エンシュージアストがまた一人姿を消した。