併用軌道で速度超過の都電運転士が停職に

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東京都交通局は7日、都電荒川線を担当する38歳の男性運転士が、国道122号線との併用軌道などで制限速度を無視する乱暴な運転をしていたとして、停職6カ月の懲戒処分を科したことを明らかにした。カーブで制限速度を超過するなどしており、脱線の危険性もあったという。

これは東京都交通局が明らかにしたもの。問題の運転士は東京都北区王子1丁目付近の都電荒川線・王子駅前−飛鳥山間の国道122号線に設置された併用軌道で、制限速度を超過した状態で走行し、脱線の危険性を生じさせた疑いがもたれている。

この運転士については、以前から「カーブでスピードを出しすぎていて危ない」、「振動で転倒しそうになった」、「接客態度が悪い」などの苦情が寄せられていた。また、クルマのドライバーからも「たまにすごい速度で進行してくる都電がいるけど、あれは大丈夫なのか」という質問が寄せられていた。

都電荒川線の併用軌道は、北区王子付近の国道122号線の中央部分、約400mに設定されており、この間は路面電車とクルマが並走する。信号についても道路の信号機を一緒に使うなど、道路を走るクルマと同じ扱いを受ける。

ただし、クルマと電車では運転特性が違うため、カーブでは独自の制限速度が設定されており、これの厳守が運転士には求められる。

あまりのクレームの多さに同局の職員が乗客を装い、該当の運転士が担当する電車に乗り込んだところ、制限速度が設定された併用軌道のカーブ部分で速度を超過。駅に入る急カーブに設定された5km/hの制限速度を無視し、20km/hという高い速度で進入していたことも最終的に確認した。

これを受け、同局では対応を検討してきたが、併用軌道での暴走は乗客に危険を与えるだけではなく、脱線などの危険性も高いと判断。運転士に対して乗務停止を命じるとともに、7日付けで停職6カ月の懲戒処分も実施した。

調べに対して運転士は「道路の赤信号に引っかかるとダイヤに遅れが生じるため、少し急いだことはある」と供述し、制限速度の超過自体は大筋で認めているという。

都電の運転士が速度超過で処分を受けるのは1969年以来、実に35年ぶり。同局では「脱線の危険や、クルマと接触の危険もあることや、利用者からの切実なクレームが多かったことから厳正に対処した」と説明している。

《石田真一》

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