危険運転罪で懲役20年の求刑

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2003年9月、栃木県真岡市内で6人が死傷する飲酒運転と無免許運転が原因とする衝突事故を起こしたとして、危険運転致死傷罪に問われたペルー国籍を持つ21歳の男に対する論告求刑公判が3日、宇都宮地裁で行われた。

検察側は併合罪を適用し、危険運転事件としてはこれまでの最高となる懲役20年の実刑判決を求めている。

問題の事故は2003年9月20日に発生している。同日の午前3時30分ごろ、真岡市熊倉付近の市道交差で、青信号に従って進行していた22歳の女性が運転する乗用車と、赤信号を無視して猛スピードで交差道路を進行してきた別のクルマが出会い頭に衝突した。

この事故で双方のクルマは大破し、衝突された側の2人が搬送先の病院で死亡、衝突した側の男女3人が重傷を負った。衝突した側のクルマを運転していたペルー国籍の男は重傷を負いつつも、事故直後に現場から逃走した。

警察では死亡ひき逃げ事件として捜査を開始。立ち寄り先などで張り込みを行った結果、同日午後までに男を発見。業務上過失致死傷と道路交通法違反(無免許運転)で逮捕している。

その後の調べで、男は事故の前夜から継続的に飲酒を行い、当時は酒酔いに近い状態。さらには無免許の上、135km/hという猛烈な速度で衝突していたこともわかった。男は取り調べに対して「夜なので他のクルマは来ないと思った」などと供述。

日本の交通ルールに対して批判的な言動を行うなど、反省する様子はほとんど見られなかったという。こうした経緯もあり、警察では業務上過失ではなく、危険運転致死傷容疑を適用して送検。検察もこれを支持して同罪で起訴していた。

3日に宇都宮地裁で開かれた論告求刑公判で、検察側は被告の行為を「殺人に匹敵する危険極まりない無謀運転で、遺族の処罰感情は大変厳しい(峻烈)」と指摘。危険運転罪だけではなく、道路交通法違反など4つの罪を併合する「併合罪」を適用。危険運転罪事案だけではなく、有期刑すべてを含めても最高量刑となる懲役20年の実刑を求刑した。

これに対して弁護側は「本件については業務上過失致死傷罪に該当する事案であり、被告も今では十分に反省している」として、刑の軽減を求めた。

危険運転罪が併合罪として判断された事案は、覚せい剤取締法違反と併合された案件が過去にあるものの、有期刑の最高量刑を求めたのは今回が初のケースとなる。

《石田真一》

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