今年2月、北海道江差町内の市道を走行中の大型ダンプトラックからタイヤ2本が脱落し、このうち1本を3歳の男児に直撃させて死亡させるなどしたとして、業務上過失致死傷と道路運送車両法違反の罪に問われた62歳の男に対する初公判が22日、函館地裁で開かれた。
問題の事故は2月18日の午後4時35分ごろ発生している。江差町水堀町付近の国道229号線で、砂利を搭載して走行していた10トン積みのダンプトラックの左側後輪タイヤ2本が突然脱落した。
タイヤはそのまま歩道上を滑走。このうち1本が歩道を歩いていた3歳の男児を直撃した。負傷した男児はすぐに病院へ収容されたが、頭部のケガがひどく意識不明の状態が続いていたが、事故から11時間後に脳挫傷などが原因で死亡している。
ダンプトラックを運転していた62歳の男は業務上過失傷害の現行犯で逮捕されたが、その後の調べで、男はトラック整備を依頼している業者からボルト数本に亀裂が生じ、破断・脱落の危険性があることを指摘されたが、交換を行わないまま使い続けていたことが判明した。
この結果、一部ボルト破断によって過剰な負荷が掛かり、他のボルトも加速度的には破断に至ったようだ。
22日に函館地裁で開かれた初公判で、被告の男は「間違いありません」と起訴事実を全面的に認めた。
検察側は冒頭陳述で、被告が以前にもタイヤ脱落事故を経験していることや、それにも関わらずタイヤを固定するボルトなどに整備を軽視していたことなどを指摘。車両を整備する管理者にその資格の無い社員を当てるなど、車両管理の杜撰さも改めて明らかにされている。
公判は今後も継続され、検察側は被告が経営する会社が使っていたダンプトラックの整備状況についてさらに言及するとともに、タイヤ脱落の原因について専門家に証言を求める形で進められていくとみられる。