車上荒らしに無期懲役…殺意成立

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車上荒らしの現場を発見されて逃走しようとした際に、発見した男性をクルマではねて死亡させたとして、強盗殺人の罪に問われた32歳の男に対する判決公判が14日、神戸地裁姫路支部で開かれた。裁判所は男に対し、無期懲役の実刑判決を言い渡している。

問題の事件は2001年12月14日に発生した。同日の午前2時40分ごろ、兵庫県姫路市内のファミリーレストラン駐車場で、交際中の女性が所有するクルマを物色している男(被告)を当時26歳の男性が発見した。

男は仲間の乗るワゴン車に乗り込んで走り去ろうとしたため、男性は駐車場の出口に立ちはだかるなどして一味の逃走を阻止しようとした。ところが男はクルマをそのまま加速させ、男性をひいたまま現場から走り去った。男性は全身を強く打ち、収容先の病院で死亡している。

被告側はこれまでの後半で「殺意は無かった」と一貫して主張。検察側から「未必の殺意があった」と指摘されてた際にも「被害者が致命傷を負うまでの時間は瞬間的で、被告が殺意を形成する余裕などなかった。よって殺人には当たらない」と、一般的に見てもかなり苦しい反論をしていた。

14日に行われた判決公判で、神戸地裁姫路支部の伊東武是裁判長は「目的のためには手段を選ばず、人命を軽視した危険極まりない運転が引き起こした結果として起きたむごい事件だ」と指摘。

さらには「長年の反規範的人格態度が表れたと認めるほかない。犯行後には事件の際に使っていたクルマを処分して証拠隠滅も図っている。総合的に考えてもやはり悪質である」と結論付けた。

その上で弁護側が主張していた「殺意は成立しない」という部分について、「被告に確定的な殺意は無かったが、被害者に向かってクルマを進めており、“ひいて死亡させるかもしれない”と認識しながら走行を続けたと認められ、この部分に未必の殺意は成立する」とし、求刑通りに無期懲役の実刑判決を言い渡した。

《石田真一》

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