消防庁は10日、携帯電話から発信される119番通報について、発信した場所を管轄する消防本部に直接つながるシステムの整備を2005年度から開始すると発表した。
現在は地域拠点の代表消防本部が最初に受け付け、発信地が離れていた場合にはその地元の消防本部に転送するシステムとなっているが、直接受信方式に改めることでレスポンス性が向上するという。
これは消防庁が明らかにしたもの。携帯電話から発信される119番の通報については、現状は全国に約220拠点あるその地域代表の消防本部が受け付け、通報の内容を聞いた後に通報者がいる場所を受け持つ管轄消防本部に転送するという形を取っている。
このため、固定電話からの通報と比べた場合、情報を転送する手間が発生し、一刻を争うような緊急時でも消防車や救急車の手配に時間を要するという欠点があった。
携帯電話からの電波をキャッチした基地局によっては、必ずしも通報地点の消防本部につながらないことがあるためで、確実性を優先した結果、今はこういうシステムになっている。
2005年からの導入を目指すシステムでは、これまで携帯電話からの通報を転送という形で受け取るしかなかった全国約900の消防本部でも直接に通報を受けられるようにする。携帯電話事業者やNTTとの調整が必要となるが、新システム導入によって従来よりも早い段階での出動が可能になる。
携帯電話からの119番通報は年々増化の一途をたどっており、2002年度は通報全体の2割を占めるまでになった。2003年度はさらに割合を上げることは間違いなく、これに対応することが急務とされてきた。
システムが全国に行き渡るのは数年を要す見込みだが、人命を守るという意味では早期の整備が望まれる。