解雇を恐れて意識障害を報告せず---ミキサー車暴走事故

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昨年8月、愛知県名古屋市でコンクリートミキサー車を運転中に糖尿病治療薬を原因とする意識障害を起こし、歩行者3人を死傷させたとして業務上過失致死傷罪に問われた29歳の女に対する初公判が16日、名古屋地裁で開かれた。被告は起訴事実を全面的に認めている。

問題の事故昨年8月6日の午前9時50分ごろ、名古屋市内の中心部で発生している。名古屋市中村区名駅5丁目付近を蛇行しながら走っていた大型コンクリートミキサー車が堀川に架かる桜橋の歩道に突っ込み、歩いていた女性2人を巻き込みながら欄干に激突した。

この事故でトラックと欄干の間に挟まれる状態となった女性2人が即死。歩道に突っ込んでくるミキサー車を避ける際に足を捻挫した1人が軽傷。ミキサー車を運転していた女が車外に放出されて川に転落して重傷を負った。

運転していた女は16歳のときに糖尿病を発症し、インスリン投与による治療を続けていたが、事故直前に過剰摂取の状態となり、低血糖を原因とした意識障害に陥っていたことがわかった。

蛇行運転が始まる直前からすでに意識はなく、事故を起こしたことすら認識できていなかったことも判明している。

16日に行われた初公判で検察側は、女がこれまでに少なくとも2回の意識障害を起こしていたことを指摘。昨年4月には仕事中に倒れて入院していることを明かした。

この際には会社側から「次に倒れたら解雇だ」と告げられたため、意識障害の症状が出ても以後は会社に報告せず、仕事を続けていた。

事故当日もインスリンを投与していたが、事故を起こす5分ほど前に意識障害の前兆を感じ、信号待ちの間にブトウ糖の摂取を行った。だが、すでに手遅れの状態であり、その数分後には意識が朦朧とした状態に陥った。

被告はそれでも運転を継続。この結果、約1.8kmに渡って意識が無いままミキサー車を暴走させる状態となった。さらにはハンドルを持ったまま助手席側へ倒れこんだことで、歩道に向かって直進するというコースを取り、これが悲惨な事故を誘発してしまった。

被告の女はこれらの事実について「間違いありません」と認めている。

《石田真一》

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