11日夕方、愛媛県東予市内の民家から17歳の少女が、以前交際していた19歳の男に拉致されるという事件が起きた。
警察は男が運転していた軽自動車を発見。約100kmに渡ってパトカーなど捜査車両30台による追跡を行い、高知県佐川町にて暴行容疑で逮捕した。少女は軽傷を負っているという。
愛媛県警・大洲署、同・東予署などの調べによると、一連の事件の発端となるトラブルが発生したのは8日だという。東予市内に住む17歳少女の家族から「娘が同居していた男に暴行を受けてケガをした。被害届を提出したい」との連絡が警察に寄せられた。
この少女は8日未明、家出中に知り合った19歳の男が借りている家でテレビのチャンネル争いから口論となり、少年から殴る蹴るの暴行を受けた。少女はこの暴行を受けた直後に「殺されるかもしれない」と家族に連絡。家族が大洲市内で保護していた。
大洲署では被害届を受理し、少女が逃げ出した直後から行方がわからなくなった19歳の少年を暴行容疑で探していた。
少女は家族とともに東予市内の実家に戻ったが、11日夕方になって警察に対して「娘が男に連れ去られた」という通報が寄せられた。自宅には抵抗したような痕跡がみられることから警察では略取事件と断定。県内の警察署だけではなく、周辺の警察本部にも少年が使っていると思われる軽自動車のナンバーを手配。その行方を追っていた。
同日の午後11時30分ごろ、警戒中の捜査員が愛媛県川内町の国道11号線で手配中のクルマを発見。停止を呼びかけたところ、少年の運転するクルマはスピードを上げて逃走した。
県警では逃走ルート沿いにパトカーを配置。捜査車両30台あまりが交替で少年のクルマを追跡し続けた。逃走距離は100kmを超え、隣の高知県まで逃げ込んだが、高知県警の協力も得てそのまま追跡。
少年のクルマは高知県佐川町内で走行を抑止され、午前1時すぎに暴行容疑で逮捕された。少女も無事に保護されたが、軽傷を負っている可能性があるとして病院での診断を受けた。
調べに対して少年は少女に対する暴行の事実をほぼ認めた上で、「話があるから連れ出した」と供述しているという。もう一方の当事者である少女は警察に対して「被害届を撤回するように言われていた」などとも話しており、警察では少年が被害届の取り下げを強要するために少女を監禁した疑いもあるとしている。
今後はこの少年を厳しく追及し、未成年者略取や逮捕監禁の容疑でも取調べを進めていく方針だ。