また転用疑惑! ゼンリンが北海道地図を訴える

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ゼンリンは6日、同社が制作・販売する住宅地図を無断使用し、自社の製品を制作したとして北海道旭川市に本社を持つ北海道地図に対し、著作権を侵害されたとして、地図の出版差し止めと約1500万円の損害賠償を求める民事訴訟を福岡地裁小倉支部に提訴した。北海道地図側は「事実無根」として、近日中に反訴を行う構えだ。

ゼンリン側の主張によると、北海道地図は札幌市などの住宅地図や、それを収録した電子地図を制作する際、ゼンリン製の札幌市住宅地図(全20冊、約4800ページ分)を無断使用し、記載内容の大部分をそのまま転用したとしている。

ゼンリンが制作した地図に掲載されている私道など約1万7000カ所が北海道地図の制作した住宅地図にも掲載されていたほか、現地関係者が実際と異なる内容での表記を希望し、ゼンリン調査員による聞き取り調査を行わないと判別できない建物表記や表札などの記載事項がそのまま使われていた。さらにはタイプミスなどによる表記の誤りについても、それがそのまま北海道地図制作の製品でも反映されていた…とする。

ゼンリンは北海道地図に対し、現地調査の方法など、制作に関わる具体的な内容の開示を以前から要求しているが、同社から納得する回答が得られなかったために今回の提訴に至ったとコメントしている。

北海道地図は、パイオニア製カーナビゲーションシステムの黎明期に電子地図の作成を行った会社であり、NHKが放送した『プロジェクトX』のカーナビ編にも登場している。

今回の記載内容転用疑惑については、パイオニア製カーナビの地図作成を現在手がけるインクリメントPを相手にゼンリンが起こした民事訴訟と主張内容が酷似しており、二つの訴訟の因果関係は強いものと思われる。

ただし今回は、訴訟を相手側の所在地を管轄する裁判所で起こすのが裁判の慣例になっているところを、自社の管轄裁判所で起こしているということから、北海道地図側を何らかの交渉の場に引き出そうという、一種の訴訟戦略も見え隠れする。

北海道地図側は「現時点では訴状が送達されていないため、訴訟自体の内容についてはコメントできない」としているが、その一方で「弊社でも現地調査は行っており、その証拠もある。ゼンリンが主張する同社製品の無断使用というのは事実無根」として、近くゼンリンに対して反訴を起こす構えも見せている。

《石田真一》

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