阪神大震災による高架橋崩壊は施工ミスにあらず---公団の責任は認めず

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「阪神大震災によって阪神高速道路の高架橋が崩壊したのは、施工ミスによる人災だ」として、阪神高速道路公団を相手に総額9200万円あまりの損害賠償を求めた民事訴訟の判決が28日、神戸地裁尼崎支部で言い渡された。裁判所は「高架橋の崩壊は事前の想定を上回る地震が原因」として、公団の責任を否定し、原告請求を棄却した。

これは1995年1月17日の午前5時46分すぎに発生した阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)によって、阪神高速神戸線の高架橋を支える橋脚が崩壊。高架橋が全長600Mに渡ってなぎ倒される形となり、当時そこを走行していたクルマが巻き込まれ、16人が死亡したというもの。原告の長男(当時51歳)もクルマで走行中に橋脚が崩壊。倒壊した高架橋にクルマごと押し潰される形で死亡している。

原告側は「大震災の規模は事前予測の範囲内だったにも関わらず、施工ミスによる橋脚の強度不足など、公団側の落ち度が原因で事故が起きた」と主張。1997年1月に提訴した。公団側は「橋脚は当時の耐震設計基準に基づき適正に設置されたが、阪神大震災の揺れはその想定を上回っていた」と反論してきた。

28日の判決で神戸地裁尼崎支部の渡辺安一裁判長は「鉄筋もコンクリートも必要な強度を満たし、基準通り施工されていた」と公団側の主張を全面的に認め、「倒壊は想定を上回る地震の結果で、橋脚には欠陥も管理の不備も認められない」として原告の請求を棄却する判決を言い渡した。

原告側は「判決には納得できない」として、控訴の方針を示している。

《石田真一》

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