最高飲酒量の危険運転致死罪被告に「ただひたすらに反省を…」と裁判長

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今年7月、東京都墨田区内の国道14号線で、中央分離帯に飲酒運転の大型トラックが突っ込み、信号待ちしていた男性2人が死亡した事故で東京地裁は28日、危険運転致死罪に問われていた30歳のトラック運転手に懲役9年の実刑判決を言い渡した。

この事故は今年7月18日の午前1時ごろに発生している。東京都墨田区江東橋3丁目付近の国道14号線(京葉道路)で、中央分離帯に設置された安全帯の中で信号待ちをしていた男性2人に向かって、道路を直進してきたトラックが突っ込んできたというもの。男性2人はトラックの下敷きになり、およそ1時間後に救出されたが収容先の病院で死亡が確認されている。

警察では当初このトラックを運転していた30歳の男を業務上過失致死容疑で逮捕したが、その後の調べで男の呼気から0.8ミリグラムを超える高濃度のアルコールを検出。事故当時は飲酒による酩酊状態だったことがわかり、容疑を危険運転致死に切り替えて送検していた。この際に検出されたアルコール濃度は危険運転罪が導入されて以後、事故の当事者から検出された最高値。これは今も更新されていないが、香川県での危険運転致傷罪適用案件でもう一例の同容量摘発例がある。

男は事故に至る直前まで飲酒を重ねており、取り調べでは「(正確な量は)よくわからない」としながらも、ビールを3〜4杯、日本酒をワンカップで6本飲んだことが捜査によって判明している。公判でもこの大量の飲酒が事故の直接の原因と指摘され、検察側は「常軌を逸した量」として懲役12年を求刑していた。

28日の判決公判で東京地裁の村瀬均裁判長は、被告が免許を取得した19歳当時から度々飲酒運転で検挙されたことがあることに触れ、「被告の飲酒運転には常習性が確認され、極めて悪質」と指摘。その上で「事故当時、トラックは凶器と化していた。飲酒量も尋常な量とはいえず、常軌を逸した悪質な犯行としかいえない」として、懲役9年の実刑判決を言い渡した。また、裁判長が被告に対して「ただひたすらに反省しなさい」と諭すなど、異例と思えるシーンもあった。

危険運転罪での懲役9年は現時点で最高のものだが、最高の飲酒量が発端となっただけに、ある意味では当然といえるのかもしれない。

《石田真一》

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