来たる4月24日、オンラインセミナー「モビリティサービスのリ・デザイン最前線~ライドシェアは幸せの量産をもたらす魔法の杖なのか~」が開催される。セミナーに登壇するのは、一般財団法人計量計画研究所理事 兼 神戸大学客員教授の牧村和彦氏。
今回のセミナーは以下のテーマで進められる。
1.ライドシェアの本質とは
2.米国、欧州の最新事情
3.モビリティサービスのリ・デザインとライドシェア
4.日本産ライドシェアに向けて
5.質疑応答
講演の後には、参加者からの質疑応答の時間が用意されている。
セミナーの見どころを牧村氏に聞いた。
■ライドシェアは万能ではない
今月1日から、ついに日本版ライドシェアが解禁された。いま世間はこの話題で持ちきりだが、日本版ライドシェアによってすべてが解決すると考えるのは早計だと牧村氏は警鐘を鳴らす。
「アメリカではライドシェアがタクシーよりも安価で便利な選択肢として広く受け入れられていますが、その安全性や妥当性についてもきちんと考慮する必要があります。
ウーバーやリフトなどのサービスは、都市部での営業が大半を占めています。需要がなければ利用されず、利益が得られないためです。そしてダイナミックプライシングという仕組みが導入されており、需要が高い時間帯や天候の悪い時などには料金が通常の2倍や3倍にも上昇します。
結果として、高額な料金設定により、裕福な人々だけが移動できる状況が生まれます。実際、UBERの利用者は高所得者層や高学歴の利用者が主な顧客層となっています。このような移動手段は、裕福な人々や企業利用には便益を提供する一方、一般の利用者に対しては不利益となるケースが懸念されます。
一部には、ライドシェアとタクシーは共存できるという意見もありますが、実際にはほとんどの場所で共存は実現していません。タクシー業界はどの都市でも急速に縮小しており、タクシー産業の崩壊が近づいています。」
いっぽう欧州においては、アメリカにおけるウーバー/リフトのようなライドシェアサービスに対して、タクシーとライドシェアの間に一定の差別化施策が行われていると牧村氏は指摘する。