トヨタは大丈夫か? 管理職以上の夏のボーナス減額へ[新聞ウォッチ]

トヨタ自動車本社
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  • 決算を発表する日産自動車の西川社長(5月15日)

気になるニュース・気になる内幕。今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析する新聞ウォッチ。…………

他人の懐具合をのぞいてとやかく言うつもりもないが、売上高が日本企業として初めて30兆円を突破し、最終利益も2兆円を超えるという“超優良会社”が支給するボーナスが減るとならば、大いに気になるところである。

トヨタ自動車が、課長級以上の管理職約9800人の2019年夏の一時金(ボーナス)を、役職に応じて平均で4~5%程度減らすことがわかったという。きょうの読売が1面で「トヨタ管理職ボーナス減、課長級以上、夏4~5%」と、関連記事を経済面のトップで「『危機感共有』開発競争激しく」とのタイトルで報じている。

記事によると、課長級に相当する約7500人の「基幹職」と、部長級・次長級などに相当する2300人の「幹部職」が対象となるそうだ。また、「管理職の一時金削減に踏み切る背景には、業界の厳しい開発競争がある」として「自動運転や電動車の開発には米グーグルやアップルなどの異業種も参入しており、トヨタは『生きるか死ぬかの戦い』(豊田章男社長)との危機感を強めている」とも、読売は伝えている。

トヨタでは今年1月1日付けの組織改正で、常務役員、常務理事と、部長や主査などに当たる基幹職1級、主査や室長などの基幹職2級を統合して「幹部職」に変更した。課長級の基幹職3級は「基幹職」として継続したが、常務役員や基幹職1級と2級では業務内容からみても権限や責任などに大きな差はなく、むしろ、退職時に「肩書」が影響して関連会社などへの「転籍」に支障をきたすケースもあったという。

トヨタが大胆な組織改正を実施したのは「なんちゃって管理職」を減らす一方で、社員が一丸となって危機感を共有しながら「100年に一度の大変革」を乗り切る狙いがある。

読売の記事では、夏のボーナスの具体的な支給額は示されていないが、おそらく外資を除く日本の企業の中ではトップクラスと思われる。そのトヨタの「管理職ボーナス減」は、業績が伸び悩む他の企業の経営者にとっては勇気付けられるニュースだが、景気を刺激する効果のあるボーナスなどが抑制されれば個人消費が冷え込むことも避けられない。

2019年6月13日付

●トヨタ管理職ボーナス減、課長級以上、夏4~5%(読売・1面)

●「日産の要職取れれば解決」株主総会ルノー、対話は継続(読売・2面)決算を発表する日産自動車の西川社長(5月15日)決算を発表する日産自動車の西川社長(5月15日)

●JDI、見通せぬ黒字化、不振のスマホ向け事業縮小(朝日・6面)

●ガソリン4週連続値下がり、143円80銭(産経・10面)

●日産社長再任に反対推奨、米助言2社「新メンバーで」(産経・10面)

●ゴーン被告公判も「特別」対立する日産と異例の一体審理(産経・27面)

●VW、日本で次世代EV導入へ(東京・6面)

●太陽光や風力発電、買い取りから入札へ、事業者に競争促す(日経・1面)

●日産総会、視界不良に、指名委など人選、ルノーと妥協探る(日経・3面)

●中国新車販売16.4%減、5月、2か月連続2桁マイナス(日経・13面)

●「空飛ぶタクシー」一歩前進、ウーバー、来年に豪でも実験(日経・15面)

●松田家、4代の100年、出戻り2代目先見の明(日経・16面)

《福田俊之》

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