【INDYCAR 第5戦】ラスト前の周に“奪首”して勝利、シモン・パジェノーがインディカーGPを制す…佐藤琢磨14位

優勝した#22 パジェノー。
  • 優勝した#22 パジェノー。
  • 前方の#9 ディクソンを追う#22 パジェノー(写真中央)。
  • #9 ディクソンは2位に。
  • 3位に入った#60 ハーヴェイ。
  • 左から2位ディクソン、優勝パジェノー、3位ハーヴェイ。
  • 予選でポールを獲得したのは新人#10 ローゼンクヴィストだった。
  • #30 佐藤琢磨は決勝14位(写真は予選日)。
  • インディカーGP表彰式の模様。

NTTインディカー・シリーズ第5戦“インディカーGP”の決勝レースが現地11日に実施され、2016年シリーズ王者シモン・パジェノーが85周レースの84周目の首位奪取から今季初優勝を果たした。佐藤琢磨は14位。

インディカー・シリーズにとって5月は常に特別な月となる。それは月末に決勝開催を控える伝統の「インディアナポリス500マイルレース」=インディ500(今年は第103回大会、今季シリーズ第6戦)を戦う月だからである。5月の戦いの舞台は米インディアナ州インディアナポリス、聖地「インディアナポリス・モータースピードウェイ」(IMS)だ。

そして近年、インディ500の前にIMSで行なわれるようになったのが“インディカーGP”である。インディ500で使うオーバルコースの一部と、そのインフィールドにあるロードコース区間を組み合わせたコースで実施される。インディ500とはコース特性(マシンの仕様)こそまったく異なるが、流れ的には前哨戦的な位置付けのレースだ(今季シリーズ第5戦)。

2019年のインディカーGP、予選でポールポジションを獲得したのは今季新人、昨年まで日本のトップシーンで活躍していたフェリックス・ローゼンクヴィスト(#10 Chip Ganassi Racing/ホンダ)。僚友にして昨季シリーズ王者のスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)を予選2位に従える格好での初ポール獲得となった。佐藤琢磨(#30 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)は予選11位。

決勝レースは中継映像カメラに雨粒が付く微妙な天候下で進み、終盤には本格的なウエットコンディションになるも最後は路面が乾いていく方向に、という難しい推移を見せた。そんななか、レース前半は目立たない位置にいた予選8位のシモン・パジェノー(#22 Team Penske/シボレー)が次第に存在感を強め、上位の争いに加わってくる。そして圧巻はレース終盤、85周のレースが残り17周となるところでフルコースコーション明けのリスタートを迎えてからだった。

コーション中の60~62周目にもラップリードは記録していた#22 パジェノーだが、6番手の位置からリスタートに臨むと、早い段階で4番手へと浮上。さらに順位を上げていき、残り6周で2番手へ。ただ、この時点でトップの#9 ディクソンとは5秒ちょっとの差があり、“奪首”までは難しいかと思われた。

しかし#22 パジェノーの猛追は止まらなかった。レインタイヤをうまく冷やしたりしつつ、ラスト前の84周目についに#9 ディクソンをパス。トップに立った#22 パジェノーは、そのまま優勝を飾るのであった。

「最後はプッシュ・トゥ・パス(オーバーテイクシステム)を使い果たしていたこともあり、(奪首の)チャンスはインフィールドしかないと思っていたよ。今日は本能全開モードで走って、それがうまくいった、という感じのレースだったね」と劇的勝利を振り返った2016年シリーズ王者 #22 パジェノー。彼にとってインディカーGPは得意レースだ。14年と16年に勝っており、このレースではこれで3勝目となった。

パジェノーは今季初優勝、シリーズ戦における勝利は一昨年(17年)の最終戦以来で、復活勝利ともいえよう。そしてシリーズ王座獲得経験はあっても、まだインディ500には勝っていないパジェノーなので、これを弾みに最大舞台制覇を達成したいところだ。

2位は#9 ディクソン。3位にはジャック・ハーヴェイ(#60 Meyer Shank Racing w/Arrow SPM/ホンダ)が入り、キャリアベストの成績となった。4位はM.レイスト(#4 A.J.Foyt Enterprises/シボレー)、5位にS.ピゴット(#21 Ed Carpenter Racing/シボレー)。ポール発進の#10 ローゼンクヴィストは序盤こそトップを守っていたが、徐々に順位を下げる展開に陥り、最終結果8位だった。

#30 琢磨は14位でフィニッシュ。今シーズン既に1勝している#30 琢磨ながら、今回はマシンの仕上げに苦労したようで、ピットストップ直後にレインタイヤを履くために再度ピットインすることになるなどタイミングにも恵まれなかった。「自分たちがもつベストのパフォーマンスを発揮できなかったと思いますし、チャンスを逃すシーンが何度もありました。非常に悔しいレース内容で、得られた結果も残念なものとなりました」。悔しさの向こうに、次なる大ステージでの反撃を期す。

繰り返しになるが次戦は第103回インディ500、IMSでの戦いはこのままフルオーバル戦へと移行していく。2年ぶり2度目の優勝を目指す琢磨はもちろん、世界3大レース制覇にリーチをかけて臨むフェルナンド・アロンソの戦いにも注視したい一戦だ。決勝レースは現地26日の実施となる。

《遠藤俊幸》

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