【SUPER GT 第5戦】ARTA NSXの野尻智紀&小林崇志がポール・トゥ・ウインでGT500を制す…ホンダは2年ぶりの勝利

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GT500クラス優勝の#8 NSX。
  • GT500クラス優勝の#8 NSX。
  • GT500の決勝スタート直後、#8 NSXと#23 GT-Rが競る。
  • GT500の表彰式。中央左が野尻、右が小林。
  • GT500クラス優勝の#8 NSX。
  • 決勝2位の#23 GT-R。
  • 決勝2位の#23 GT-R。
  • 決勝3位の#38 LC500。
  • 決勝3位の#38 LC500。

SUPER GT第5戦の決勝レースが6日、富士スピードウェイで行なわれ、ARTA NSX-GTの野尻智紀&小林崇志がポール・トゥ・ウインでGT500クラス優勝を飾った。今季開幕からのレクサスの連勝は4でストップ、ホンダにとっては2年ぶりの勝利となっている。

決勝日の富士は朝から概ね晴れと形容できる空模様になっていたが、午後3時25分という遅めの決勝パレードラップ発進時刻になる頃には、曇りと呼ぶべき状況に。直前の時点で気温29度、路温36度というコンディションだった。

300km、66周の戦いは、波乱万丈が常のSUPER GTにしては比較的な平穏な流れに終始した。もちろん激しいバトルやアクシデント的な事象もあったが、セーフティカーが導入されたり、レース展開のアヤによる運・不運が上位の戦局を大きく左右することはなかったといえよう。そのなかで、ポール発進の#8 ARTA NSX-GT(タイヤはブリヂストン=BS)が野尻~小林とつないで後続をほぼ完封、今季3度目のポール獲得をついに今季初優勝へと結びつけた。

レクサスLC500勢の開幕からの連勝は4で止まり、ホンダにとっては2年ぶりのGT500優勝である。

野尻は優勝会見で、「ホンダ、ブリヂストン、チーム、ファンのみなさん、とにかく僕たちに関わってくれている全ての人に感謝したいです」と、周辺への謝意をまず強調した。今年は鈴木亜久里が率いるARTA(オートバックス・レーシング・チーム・アグリ)の20周年イヤー。「小学5年生の時にARTAのカート夏合宿で亜久里さんに認めていただいて、それからサポートを受けて活動してくることができました」という野尻は、「今年はなんとか結果を、と思うなかでプレッシャーもありましたし、自分自身を制御できないようなこともありました」との心情を吐露する。

そして、「僕以外の全ての人たちの力のおかげだと思いますし、小林選手も本当に頑張ってくれました。言うことないくらいにハッピーです」と、野尻はもう一度感謝の思いを重ねた。涙声に聞こえてくるようなところもあるくらいの感動的な優勝コメントだった。

一方の小林には、会見途中で「やばいですね…」と完全に涙声になるシーンも。小林もホンダやブリヂストン、チーム、ファン、僚友に対しての感謝を一様に語っているが、感極まったのは「いちばん『ありがとう』を言いたい人」が、野尻とは反対側の隣に座っていたからである。

今回はGT300クラスもARTAのポール・トゥ・ウインとなり、まさにARTA祭りの2日間となったわけだが、GT300優勝ドライバーのひとり、高木真一が小林の隣にいた。小林には今年、GT300からGT500にARTA内で復帰昇格した経緯がある。そして過去4シーズン、GT300で一緒に戦っていた(4年で5勝)のが大ベテランの高木だったのだ。

「高木さんには本当にいろんなことを教えてもらいました。その経験が活きたと思います」。小林のコメントもまた、野尻に負けず劣らず感動的なものであった。

この勝利で#8 NSXはウエイトハンデの数値が大きくなるが、次戦鈴鹿1000kmに向けても「長いレースなので、しっかり戦えばチャンスはあると思います」(小林)、「ウエイトが効くコースではありますが、強く、安定した戦いができれば、僕もチャンスはあると考えています」(野尻)と両ドライバーはポジティブ。27歳の野尻と29歳の小林、若手から中堅の域に入ってきたふたりには、この勝利でさらなる飛躍を遂げそうな期待もある。

(野尻のGT500優勝は自身初。小林は2010年の鈴鹿700kmにおいて、スポット参戦の第3ドライバーとして決勝は走らずにGT500で優勝したことがある)

決勝2~6位は以下の通り。
2位 #23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&R.クインタレッリ/ミシュラン=MI)
3位 #38 ZENT CERUMO LC500(立川祐路&石浦宏明/BS)
4位 #36 au TOM'S LC500(中嶋一貴&J.ロシター/BS)
5位 #12 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信&J.マーデンボロー/BS)
6位 #37 KeePer TOM'S LC500(平川亮&N.キャシディ/BS)

ドライバーズポイント首位、つまりトップハンデでこのレースに臨んだ#6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也&A.カルダレッリ/BS)は決勝9位。そして今回の結果を受けて、ドライバーズポイント上位には3点差で5陣営がひしめく大激戦となった。

<GT500クラス ドライバーズポイント上位>
44点 #36 レクサスLC500(ロシター)
43点 #6 レクサスLC500(大嶋&カルダレッリ)
42点 #37 レクサスLC500(平川&キャシディ)
41点 #38 レクサスLC500(立川&石浦)
41点 #23 日産GT-R(松田&クインタレッリ)
(#36の中嶋一貴はWECとの日程重複による欠場があり、ロシターとは通算ポイントが異なる)

シーズンを席巻するレクサス勢の争いが最接近したところに、ニスモ(#23)が食い込んできたのが興味深い。いずれにしてもGT500クラスは次の鈴鹿1000kmが天王山ということになりそうだ(長距離ボーナス込みで、優勝すると通常20点のところを25点獲れる)。

その次戦第6戦鈴鹿1000kmは、8月27日決勝の日程で開催される。来季から10時間耐久レースとなってSUPER GTのシリーズ戦からは外れる“最後の鈴鹿1000km”には、ジェンソン・バトン、小林可夢偉といった大物ドライバーがGT500クラスにスポット参戦という華々しい話題もある。チャンピオン争いの動向と併せ、ひときわ注目度の高い一戦になる。

《遠藤俊幸》

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