宅配ロッカーの限界…通販を利用する動機は?

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駅に設置された宅配ロッカーの例
  • 駅に設置された宅配ロッカーの例

宅配サービスの効率化の決め手とされる「宅配ロッカー」。再配達を減らす最も有効な手段として、政府も宅配業者も積極的だ。が、果たしてうまくいくのか。

「誰がロッカーに入れていいって言ったんだ? 重くて持てないだろう!」 大手宅配ドライバー経験者にかかってきた苦情の電話だ。相手は世帯数100戸近い大型マンションに住む初老の男性だった。

「通販の盛り上がりで、気温が上がってくると水や飲料水が目に見えて増える。これが重くてかさばる。でも、これこそロッカーに入れてはいけない典型的な荷物だけど、配達に慣れないと入れてしまう」

通販サイトを見ると、一箱では送料は有料、複数個買うと無料という販売方法が珍しくない。

「500mlのペットボトルだと24本。2リットルだと6本。女性だと1箱でも重い荷物が、2箱まとめて1つの荷物で送られてくる。そんなかさばるものは入れなくても、1箱ぐらいはケースバイケースで入れることがある。それが苦情の原因になる」

こうした荷物は、飲料水だけではない。コメや紙おむつなども同じだ。きっかけはいろいろあるが、自室まで大きい、重くて運べないから頼むというのは、通販を利用する大きな動機のひとつだからだ。

「だから、ロッカーだけ用意しても、ないよりましだが解決にはならない。例えば、ロッカーから自室に運ぶまでの台車をマンションに用意してもらうとか、ロッカーから自室までのラストワンマイルが解決されないと十分じゃないんです」

ほかにも、宅配ロッカーの限界はある。ロッカーが、お中元やお歳暮の時期でもないのに、すぐに埋まってしまうことだ。

「不在票を入れても、何日もロッカーから取り出さない。それでも通販で頼む。どういう事情があるのかはわかりませんが、そういう人が数人いると、それだけでロッカーが埋まって、ボックスが10個あっても、使えるのは1、2個という状況に陥ってしまう」

ロッカーの多くは、通信による遠隔操作で預入の状況が確認できる。しかし、滞留する荷物を管理会社が預かるわけにはいかないから、対応は鈍い。管理人が実質不在のワンルームマンションなどでは、ロッカーがあってもすぐに機能不全に陥ってしまう。

「戸建ては住人が不在だから受け取らないだけなのですが、ロッカーがあると安心しているのか、不在票をいれてもなかなか連絡ももらえない」。ドライバーはポストに不在票という紙だけを入れてるわけではない。不在でも荷物を運び、持ち戻っていることがなかなか伝わらない現実が、根本にはある。

《中島みなみ》

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