Hondaは軽二輪アドベンチャーモデル『CRF250ラリー』を発売したが、その開発責任者・杉山栄治氏(本田技術研究所 二輪R&Dセンター)は、同モデルを次のように説明している。
「2015年の大阪、東京モーターサイクルショーへの参考出展にはじまり、ユーザーらの反響がコンセプト実現への大きな後押しになりました」
「もともと私はより多くの人にツーリングを楽しんでいただける、昔のXLR、XLR250BAJAのようなトレール車をベースにした走破性の高いツーリングモデルを提供したいという想いを持っていました」
「軽量な車体と長いサスペンション、粘り強いエンジン出力特性など悪路走破性の高さに加えて、夜間でも安心の大型ヘッドライトを装備することで、お客様のツーリングライフを支えていました。私もそのようなバイクライフを謳歌していたひとりです」
「ところがその後の環境変化で道路の舗装化が進み、林道は減少。自ずとツーリングに出掛ける機会が減っていきました。遠くなった林道へ、苦労なく移動することができるオフロードツーリングモデルがあればなぁという想いは、ずっと私の頭の片隅にありました」
「それから時間が経過し、私が先代のCRF250Lの開発を終えた2012年。Hondaはダカールラリーへの復帰を宣言し、翌13年、CRF450RALLYでチャレンジを開始しました。そこで荒野を疾走するシーンから、冒険をイメージさせるリーダー的モデルが誕生しました」
「ラリーレーサーですが、単に速さを求められるものではありません。さまざまなコンディションを長時間走行して、ライダーの負担を極力軽減させる“包容力”というものが必要になります。これが先ほどの想いと結びつき、最新レーサーのスタイリングを採り入れたCRF250Lをベースとするコンセプトモデルの提案に繋がりました」
「モーターサイクルショーでの評判はご存知の通り、たいへん好評で市販化を望む声が多く聞かれました。そこで、いよいよ開発ゴーサインが正式に出されました」