【ホンダ レーシング 2017】SF大物新人ガスリーに訊く…「憧れはアイルトン・セナ」

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レッドブルカラーのマシンでスーパーフォーミュラに参戦するピエール・ガスリー。
  • レッドブルカラーのマシンでスーパーフォーミュラに参戦するピエール・ガスリー。
  • 飲むのはもちろん「Red Bull」。
  • スーパーフォーミュラにはチーム無限からの参戦。左は僚友となる山本尚貴(13年王者)、右は手塚監督。
  • ガスリーは2018年のF1レギュラー昇格を狙う。
  • ガスリーは1996年2月7日生まれ、フランス出身。
  • ホンダ勢の今季SF参戦ドライバーたち。
  • ガスリーとホンダの山本雅史モータースポーツ部長。
  • ガスリーは昨年、GP2でチャンピオンを獲得している。

13日に都内で行なわれたホンダの今季モータースポーツ活動計画発表会には、チーム無限からスーパーフォーミュラに参戦する大物新人ピエール・ガスリーも出席。新季への思いや憧れのドライバーについて、次期F1有力候補生に訊いた。

2月7日で21歳になったばかりのガスリーは、フランス出身の若手有望株。F1レッドブルのジュニアドライバーで、2015年のF1日本GPの際にはリザーブとして鈴鹿に来ており、今回が2度目の来日だという。

昨季はF1の登竜門カテゴリーであるGP2シリーズでチャンピオンを獲得。しかし、今季に向けてのF1昇格は「レッドブルと(系列の)トロロッソ、計4つのシートがすべて埋まっていて実現困難でした」と振り返る。そこでレッドブル側が主体になって、ガスリーの2017年のレース活動について「いろんなオプション(プラン)を考えることになり、そこでスーパーフォーミュラ(SF)の可能性も浮上してきました」。

そして今季のガスリーの活動は、チーム無限(エンジンはホンダ)からのSF参戦というかたちに決まった。もちろん、目指すは昨年のS.バンドーン(昨季SFダンディライアン→今季F1マクラーレン)のような“SF 1年留学”を経ての来季F1レギュラー昇格である。

「将来に向け、ドライバーとして、そして人間としても僕が成長できる今季のオプションはどれかと(レッドブルとも一緒に)考えて、SFが一番だということになったんです。レギュレーション的にもF1に近づいていっているカテゴリーであり、必ず僕の将来に役立つと思っています」

少し話を聞いただけでもかなり勉強熱心であることが窺えるガスリーだが、先代のGP2王者で、SFの“先輩”でもあるバンドーンからもいろいろと学習していることだろう。

「ストフェル(バンドーン)はもちろん、日本でのレース経験が長い(母国の先輩)ロイック・デュバルからもSFや日本についてのポジティブなフィードバックをもらっているんです。だから、安心して日本へ来ることができました」

情報収集は順調に進んでいるようだ。「まだ実際に走っていないので、なんとも言えませんが」という前置きをしつつ、こんな具体的な展望も語る。

「GP2のピレリタイヤには僕のドライビングスタイルを少し変えて対応する必要があったんですが、SFのヨコハマタイヤなら、ナチュラルに自分のアグレッシブさを出して走れると思っています」

ガスリーは1996年2月7日生まれ、フランス出身。
コースの分析も進んでいる。レッドブルのシミュレーターで鈴鹿は(F1設定で)走り済み。その他、まったくの未知コースであろう岡山やSUGO、もてぎ、オートポリス等についても「オンボードカメラの映像等を見ています。(日本には)テクニカルなコースが多い印象ですね。簡単ではないと思います」と語る。

ところで、ガスリーにとって幼少時からの憧れのレーサーのような存在はいるのだろうか。

「僕のメインアイドルは、アイルトン・セナです」

やはり、と思うのと同時に少々意外な答えでもある。なぜならば、ガスリーが生まれる約2年前にセナはこの世を去っているからだ。しかし、「映画やドキュメンタリー、記事などで彼のことをたくさん知りました」と、ここでも勉強熱心なところを見せるガスリー。F1のパドックの住人にもなった今は、「セナと一緒に仕事をした方々がたくさんいますから、いろいろと話を聞いてもいます」。

「映画とかドキュメンタリーは、当然セナのいいところが中心になっているでしょう。彼にネガティブな意見もあったということは聞いています。そういうところも知った上で、やはり彼は真に特別なドライバーであり、僕の尊敬の対象であり、憧れだと考えています。僕もアイルトン・セナのようなドライバーになりたい、そう思っています」

ガスリーは昨年、GP2でチャンピオンを獲得している。
決して盲信的崇拝ではないところもガスリーらしさか。そしてもうひとり、彼は尊敬するドライバーの名を挙げた。それは2014年のF1日本GPでのアクシデントが原因となり、翌年、天に召されたジュール・ビアンキである。

「彼とはたくさんの時間を一緒に過ごした友人であり、どんな時でもあきらめずに頑張っていた彼の姿勢を尊敬しています。そしてもちろん、僕もその姿勢は同じつもりです。彼が最後のレースを戦った鈴鹿を実際に走ったら、ちょっと感傷的になるかもしれませんね」

ガスリーは3月5~7日のSF鈴鹿テスト(5日はファン感謝デーでのデモレース)で鈴鹿初走行となる予定。そして4月22~23日の鈴鹿開幕戦から、日本での実戦が始まることとなる。

「F1にもレッドブルとトロロッソのリザーブとして(SFと重ならない日程は)全戦帯同しますから、忙しいシーズンになりますね。でも、自分にできる準備はすべてやって、シーズンに臨みます。エキサイティングでチャレンジングな一年になるでしょう。(SFでの成功が)難しいことは承知していますが、僕は勝つために来ています。ベストを尽くして頑張ります」

F1を目指し、レッドブルカラーのマシンで日本を走る若き騎士ガスリー。彼が今季、いろいろな意味でSFの話題の中核的存在となることは間違いない。

《遠藤俊幸》

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