排気サウンドには様々な音の成分が混ざっている。聴く人はそれらのハーモニー如何で“良い音”と感じる。新型『CB1100』の排気音にはこれらの“調律”が徹底的になされている。
まず、マフラー内部を従来の3室から2室構造に変更し、原音そのものの鼓動を聞かせる。また、連通管内に設けた仕切り板に穴を開けることで、空冷直4ならではの“輪郭感”のキモとなる高音域の混じる原音を活かした。
吸排気系設計担当の羽山良孝氏はこう言う。
「仕切り板の穴径を大きく、数を増すほど高音域が出る傾向です。また、仕切り板に穴を設けることで排気が膨張室を通過しないため、原音を活かせるのです」
鼓動感は“迫力の重低音の周期的な変化”と“少しの高音域成分”のバランスがカギとなる。円断面のテールパイプを使うことにより、単純に高音域を減衰させるだけではなく、重低音を活かしながら、低音域と高音域のバランスをチューニングした。
「連通管やテールパイプが長く、細い程、排気音は減衰し音量は小さくなります。しかしその分、排出ガスの抵抗となり、出力が低下する傾向となるので、法規対応を前提として音と出力とのバランスをとる必要があります」
新型CB1100シリーズのマフラーは、クローム仕上げによるトラディショナルなイメージを踏襲しつつ新設計したもの。エキゾーストパイプを2重管にし、熱による変色を抑制した。
また、車体のシルエットに凝縮感を出すため、全長を70mm短縮し、外径を最大7%スリム化。マフラーだけで2.4kgの軽量化を実現し、車体の取り回しやすさも飛躍的に向上した。もちろん、最新の騒音規制や排出ガス規制に適合している。