【ドライブコース探訪】爆買い必至? 山梨・白州でスイートな工場見学

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シャトレーゼ白州工場の玄関。
  • シャトレーゼ白州工場の玄関。
  • シャトレーゼのロゴ。目にしたことのある方も多かろう。
  • 白州の美味しい水へのこだわり。
  • 原料を搬入する人が工場の廊下を行き来する。邪魔にならないように見学。
  • 小豆あん製造ライン。一見殺風景だが、周辺には何とも言えない良い香りが漂う。
  • このようなこだわりポイントの解説パネルが随所にある。
  • アイス試食コーナー。
  • しっぽまであんというほのぼのネーミングのアイスもなか。

近年、工場見学がひそかに流行っているという。なかでも食品・酒造は誰にとっても身近な分野なだけに、人気もひとしおだ。ホンダ『シャトルハイブリッド』で600kmツーリングをおこなったさい、山梨西部、国道20号線沿いにあるシャトレーゼ白州工場を訪れてみた。

シャトレーゼは多くの方がご存知であろう菓子メーカー。直売ネットワークを全国に持ち、ケーキや焼き菓子、アイスクリーム、和菓子、団子など、さまざまなおやつを低廉な価格で販売している。白州工場は1994年に完成した大型生産拠点だ。

工場は南アルプスを望む北杜市白州に広がる森の一角にある。南アルプスの天然水よろしく素晴らしい軟水の産地で、近くにはサントリーのウィスキー蒸留所や取水地もある。シャトレーゼがここに立地を求めたのも、食べ物の基本である水の良さを求めてのことだそうだ。

工場の入口をくぐり、生産ラインに向かって回廊を進むと突然、小豆を茹でる何とも言えない良い香りが鼻を突いてきた。内部を見ると、大きな茹で釜の中で大量の小豆が茹でられている。その小豆をフラップがぐるぐるとかき混ぜるのだが、小豆の動き具合がねっとりとして、実にいい具合だ。言うなれば、家で小豆を煮るときに木のへらでかき混ぜるのと同じ動き。大量生産のプロセスといえば、そういう生活感とかけ離れたイメージがあるのだが、関係者に話を聞いてみたところ、美味しい料理の原点は人間の調理作業にあり、大量生産はそれをどう大型の機械で再現するかが重要になるのだという。

その後も、蒸しパンの匂い、ミルキーな匂いと、生産ラインを渡り歩くたびにいろいろ美味しそうな匂いが楽しめる。筆者がメインとしている自動車、重電、石油化学などの分野では、工場見学といえば殺伐とした風景、騒音・振動、化学的な臭気などが頭に浮かぶ。食品工場の工場見学は、それとはまったく異なる、命の息遣いに満ちたイメージだった。

ひと通り工場を見学した後は白州工場名物、アイスクリームの試食ができるコーナーへ。そこでたい焼き型のアイスもなか「北海道十勝産小豆 豆のきわみ しっぽまであん」、みかん果肉が入った「つぶつぶみかんバー」、ジャージー牛乳を使った「八ヶ岳牛乳王国 ジャージー牛乳バー」、そしてもう1発小豆系で「豆のきわみ 十勝小豆バー」を食べた。

シャトレーゼといえば低価格品であるわりにはプリンなどが美味しく、たまに買ったりすることもあったのだが、工場見学の中で小豆あんも使用するお菓子に合わせて4種類作り分けているといったこだわりポイントを聞いた後だと、あらためて美味しさがきちんと伴っていることがあらためて実感された。

試食した4つのアイスのお味はいずれもとても良かった。とくにジャージー牛乳バーはこってりとした味わいがプレミアムミルクバー的で素晴らしかった。難点を感じたことがあるとすれば、しっぽまであんのもなかを噛み破ったときに見えるアイスが四角くカッティングされた形そのものなのが見た目のグレード感を下げていたこと。もう少しナチュラルな感じで入っていれば味は良いのだし、クオリティ感がアップするのではないかな~と思った。

工場見学を終えると、最後にあるのはおみやげコーナー。通常、観光地のおみやげコーナーはバラエティ豊かではあるものの、お値段も観光地価格でお財布の中身と相談することが多くなってしまいがちなのだが、シャトレーゼは泣く子も黙る低価格ライン。並んでいるものがいちいち安く、1000円、2000円も出せばそれおこそ食べきれないくらいモノが買えてしまう。中国人観光客が少し前までやっていた爆買いのカタルシスをちょっぴり追体験できるのも面白いところだ。なお、おみやげコーナーにはシャトレーゼが勝沼に解説したワイン醸造所で作った生ワインをその場でボトリングして買うこともできる。

白州界隈はシャトレーゼ白州工場以外にも穴場的なドライブスポットがたくさんある。中央自動車道からも便利なロケーションで出かけやすいのも嬉しいところだ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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