「路線バスの山の神」の技…急カーブ&急坂が連続する箱根駅伝5区

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箱根駅伝5区を行く路線バス
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「浜松~名古屋間は降雪のため速度を落として運転。こだま号は最大で60分の遅れ」 今期最強寒波の到来で新幹線車内にそんなアナウンスが流れる1月15日、伊豆箱根鉄道バスで、箱根駅伝5区を走ると、通い慣れた登り坂で見せる運転士の技を見た。

センター試験2日目が行われたこの日、列島全体が強い寒波に覆われ、大雪の影響で開始時刻を繰り下げる会場が続発。神奈川県西部、小田原方での伊豆箱根バスや箱根登山バスも「降雪でルートの途中が通行止めとなったら運休」と事前に伝えていた。

朝7時台に出る箱根方面行き路線バスはスタッドレスタイヤを履いて定時に出発。市街をダイヤ通りにゆっくりと走り、箱根湯本駅の脇をかすめ、“箱根国道”と呼ばれる山道を登り始めた。

日曜日の朝7時台ということからか、乗降客は少なめ。昭和初期竣工で土木遺産に指定されている旭橋、千歳橋、函嶺洞門をすり抜けたあたりから乗降客はほぼゼロ。この状況で、後席からバス運転士の動きを見ていると、シフトレバーにほとんど触れない。急勾配、水平、急カーブが続き、ハンドルが忙しく回っても、変速はほとんどない。

さらに、走り慣れた道だからか、カーブの内側すれすれを走る。窓のすぐ先に崖や民家の屋根が見えたりすると、乗っている側はスリルでドキドキだ。

まれに出くわす赤信号で止まると、再び2速発進で3、4とすぐに上げていくだけ。10%前後の坂道が続く箱根国道を、ほぼ4速で走り通す。回転数が落ちず、回りすぎず、ペースも崩れず。絶妙な回転数と速度で駆け上がってしまう。

「なにかのイベントで混雑すると、それだけ重くなるから3速に落とす場合もあるけど、座ってる客だけぐらいだと、ギアを落とさずに行きたいね」

そのぶん、アクセルは閉じたり開けたりと小刻みに操作しているよう。急勾配へさしかかる手前でエンジンを少し回すと、後方から「ピーン」というターボ音が聞こえてくる。ちなみに寄り添って走る箱根登山鉄道の最大勾配は8%(80パーミル)で、たまたま見かけたモハ1形はブウゥーンという底の方から響くモーター音を発して坂を駆け上がっていった。

青空が見えたこの日は、ほとんどのバスが定刻で動いていたよう。小田原で小休止していた運転士は、「これで雪が降ると、少し速度を落として行くから、3速に落としたり、3速でずっと行く場合もある。これに乗降の時間が長くなるから、遅れてっちゃう」と教えてくれた。

下りはで急坂を駆け下りていく。箱根方面を目的地とするダンプカーたちは、排気ブレーキを絶やすことなく使い、信号や渋滞の手前で早めにブレーキペダルを踏んでいる。走り慣れた路線バスの運転手は少ない変速で走り抜けるいっぽう、観光で訪れたレンタカーやマイカーのドライバーは、キックダウンや変速を繰り返してた。

東海地方に雪を降らせた雲は、関東南部にまで届くことなく、青空が広がった箱根。バス運転手は「これからの雪で、小涌園から先がよく通行止めになる」と話していた。

《レスポンス編集部》

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