ブリヂストンが10日に発表したECOPIA NH100シリーズは、耐摩耗性能と燃費性能、そしてウェット性能をバランスさせた補修・交換用の新しい提案だ。同社のナノプロ・テック技術によるエコ効きもちゴムのおかげだという。
ナノプロ・テック技術はなんとなくわかる。同社が花王の界面活性技術をゴム製造に応用した高分子ポリマーの合成、新素材技術のことだ。では「エコ効きもちゴム」とはなんだろうか。正月だからお餅を入れたわけではない。燃費性能(エコ)と耐摩耗性能を両立させたゴム、さらに減りにくいだけではく性能劣化も抑えた新しい特性を持つゴムということで、エコ・効きがもつタイヤの意味だ。
タイヤにおいてロングライフとウェット性能を追求すると、溝を深くするのがセオリーである。しかし、腰高のブロックは変形しやすく発熱、つまり燃費性能の悪化、ゴムの劣化につながる。発表会で商品説明を担当したブリヂストンタイヤジャパン タイヤ開発第3本部長 草野亜希夫氏によれば、NH100では、転がり抵抗を低減するポリマーとウェット性能を向上させるポリマーをナノプロ・テック技術で組み合わせ、かつシリカとの結合も分散剤によってなるべく均一になるようなゴムを合成したという。
耐摩耗性能向上には、トレッド面の剛性を上げ接地を均一にする剛性コントロールシートの挿入、タイヤショルダー部のラウンド形状(チャンファリング)、ショルダーブロックの大型化、ブロックやエッジの「ヨレ」を制御するV字サイプ、M字サイプなどを採用した。ブロックや接地面のヨレや変形を抑止することは、ゴムの発熱を抑え耐摩耗性能だけでなく、ゴムの劣化も抑える効果が期待できる。なお、トレッドパターンは、セダン用(NH100)、ミニバン用(NH100 RV)、軽自動車用(NH100 C)と、車種ごとに専用パターン設計となっている。
じつは、これらの技術は、従来のECOPIA、プレイズ、レグノなどにも応用されている技術だが、タイヤの特性に合わせた形で調整が行われ、ブランドごとに最適な性能がでるようになっている。NH100では、新車装着タイヤ相当のECOPIA EP150相当の性能を維持しながら、経年によるゴムの劣化、性能の低下を抑える方向で素材、パターンのチューニングが行われた。
ウェット性能は同じ2万キロ走行したタイヤで比較すると、ブレーキ性能の低下が抑えられている。NEXTRYが2万キロの性能定価指数が100だとすると、NH100は70しか低下しない。