「セミコン ジャパン2016」では「THE高専ブース」と名付けられた専門のブースが登場。全国から9校が出展し、独自に開発した自慢の技術を披露した。その中で注目された1校が香川高等専門学校だ。
同校が展示したのは高齢者の行動モニタリングシステムで、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)圧電フィルムを使用した高感度呼吸センサーで呼吸や心拍、体動を同時に測定するというもの。測定の仕方はいたって簡単で、圧電フィルム付のベルトを胸の周りに巻き付けるだけ。
同校は以前、乳幼児の突然死を防止するためのセンサーとシステムを開発。今回のものはそれを高齢者向けに改良したものだ。超高齢化社会のなかで何か役に立つものをと考えたわけだ。
「高齢者の見守りなどに非常に便利なものだと思います。正確な呼吸や心拍、体動が計れるので、高齢者が今どんな状態だかわかりますからね。来年1~2月に実証実験を開始し、その後実用化しようと考えています。将来的にはネットワークにつなげて、遠くからでも確認できるようにしていくつもりです」と同校関係者は説明する。
また、企業と共同でこのシステムを利用したウェアの開発も進めており、すでに京都の半導体装置メーカーのSEBACSとクリーンルーム内で働く従業員の作業着を試作している。「このシステムはいろいろな分野で活用できると思う」と同校関係者はその将来性に期待している様子だった。