トヨタの新型AT、レクサス搭載が遅くなるなら…

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トヨタ自動車が12月6日に技術発表した次世代パワートレイン群には、来2017年に展開される非ハイブリッド車用の多段変速機が含まれていた。一つはエンジン縦置きのRWD(後輪駆動)用10速AT、もうひとつはエンジン横置きのFWD(前輪駆動)用8速ATである。

10速ATの初採用モデルはレクサス『LC』とみられる。構造は現行の8速ATに比べてやや複雑化しているが、「ユニット重量や体積は8速ATとほとんど同じ」(AT開発部門のエンジニア)とのことで、現時点でコストダウンはそれなりに進んでいる可能性が高い。今後、レクサス『GS』以下のレクサスブランドのRWDモデルや『クラウン/マジェスタ』への採用拡大が期待できる。

8速ATは同日公開された直噴2.5リットル直4ミラーサイクルエンジンと組み合わせ、アメリカ市場向けファミリーセダン、次期『カムリ』に初搭載される予定。現行モデルの6速ATの置き換えだが、これも日本で発売されているモデルへの拡大採用が期待されるところだ。出来次第、すぐにでも更新すべきなのはレクサス『NX』および『RX』の2リットルターボ車の変速機だろう。両モデルとも6速ATを使っているが、そのフィールが非常に悪く、エンジンの資質を台無しにしている。

レクサスLC500

「機構の制約から、騒音・振動を考慮するとロックアップ領域を拡大できなかった。新型ATなら大丈夫です」と、前出のエンジニアはコメントした。新8速ATはトルクコンバーターのロックアップ領域が大幅に拡大されるだけでなく、変速ステップが等間隔になるようなギア比の設定になっているというから仕上がりには期待できる。本来ならばこれも初出をカムリではなく、レクサスにすべきだったのではないか。

もっとも、採用の後先以前にノンプレミアムとプレミアムが同じ機能の変速機というのは、それはそれで話にならない。待たせるぶん、レクサス用はもっと高機能なものになることを期待したいところだ。

[おわび]10速ATの初採用モデル予想はレクサス『LC』です。訂正して再公開しました。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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