経営コンサルティング会社のデロイトトーマツコンサルティングは5日、先に発売した書籍『モビリティー革命2030 自動車産業の破壊と創造』に関する記者向け説明会を実施した。
同書の中でデロイトトーマツは、電気自動車、カーシェアリング、自動運転など、近年自動車産業が直面する大きなテーマが自動車産業に与える影響を解説している。説明会では、書籍の全体監修を担当したデロイトトーマツ パートナー 執行役員の佐瀬真人氏がスピーカーとなり解説した。
■CO2削減要求がパワートレインの変革をうながす
気温が2度上昇すると地球環境に壊滅的かつ不可逆的なダメージを与えるという「ティッピングポイント」。2015年のCOP21で採択された「パリ協定」では、気温上昇を2度未満に抑える方向性が打ち出され、各国首脳や企業トップはパリ協定に同調する声明を発表している。
デロイトトーマツは「COP21を目指す前提では、現在はほぼゼロに等しいプラグインハイブリッド車(PHEV)とゼロエミッションビークル(ZEV。EVまたはFCVのこと)の販売を、全体の4分の1、2050年には100%にする必要がある」と説明する。
「不確定要素として、トランプ次期アメリカ大統領がCO2削減に消極的な政策をとり、取り組みが後退する可能性はある。国や企業がどの程度CO2削減を重要視するのかによって、ZEVが100%になるのが2050年になるのか、それが10年遅れるのか、変化していくと考える」とした。
■3%の自動運転車が30%の移動を支える
2030年には、販売台数ベースで3%の自動運転車が30%の移動を占める可能性がある。自動運転車がタクシーのように街を24時間走行すると仮定すると、自家用車の約15倍の距離を賄うことになるためだ。
■2030年に自動車メーカーの利益は半減する
シェアリングサービスの普及による新車販売の減速、さらに小型化シフトと電動化が進むことで、自動車メーカーの利益率が半減するリスクがあるとしている。
「2030年に向けて、販売台数じたいは新興国中心に増加し、1.3倍程度になるが、利益率は現状5%台と決して高くないレベルがさらに下がり、手を打たなければ2%台になることもある。売り切り型事業の限界が見え始めている」とした。