渋滞や事故、違反をリアルタイムで認識---画像処理と機械学習を活用

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渋滞や事故、交通違反などの状況を高精度・リアルタイムで認識する技術の効果
  • 渋滞や事故、交通違反などの状況を高精度・リアルタイムで認識する技術の効果
  • 環境状態に合わせて映像を分類して学習する高精度な認識技術
  • 動きの変化を解析し交通事故など複雑な事象を効率的に推定する技術

富士通研究所と中国の富士通研究開発中心(FRDC)は、画像処理と機械学習の技術を活用して、道路交通の監視映像を解析し、渋滞や事故、交通違反などの状況を高精度・リアルタイムで認識する技術を開発した。

近年、監視カメラを大規模に都市に配置して遠地から集中管理することで、交通安全、環境対策、渋滞緩和などへ活用する取り組みが期待されている。

広い地域を監視する業務においては、大量の映像から迅速、正確に必要な情報を抽出し関係者に伝えることが重要だが、従来の映像認識による交通監視技術は、自動車のヘッドライトや太陽光などの光源、影など、様々な環境要因による影響を受けやすいことが課題だった。また、多様で複雑な事故や違反などの事象を効率良く高精度で認識することも課題となっている。

今回、富士通研究所とFRDCは、照明変化や夜間、霧などの周辺環境の変化に強い、高精度な車両認識技術と、交通事故などの複雑な事象を効率的に推定する技術を開発した。太陽光による影響や夜間、霧など様々な環境状態による特徴やカメラ位置などの状況ごとに類似するデータを自動的に分類してグループ化、それぞれのグループに応じた学習と推定を行う技術により、対象となる車両の認識率が向上した。

交通事故などの複雑な事象は、関連する複数の移動体が動く組み合わせを解析する必要があるが、解析を常時行うと多大な演算量が必要となる。今回開発した技術は、走行している車両の方向、スピードの変化から通常とは異なる事象が発生している可能性を異常発生度として数値化、この数値が高い場合のみ、その周囲の複数の移動体を解析することで、解析処理の演算量を抑える。

開発した技術を、渋滞検出や路上異常検出など、11事象の認識機能を実装したソフトウェアに適用した実証実験で、技術適用前に比べ5~10ポイントアップとなる90~95%の認識精度を達成した。開発したソフトウェアは、演算負荷の高い動画処理を独自の高速アルゴリズムで最適化することで、市販されているパソコン1台で4台の監視カメラ入力に対し、それぞれ7事象の認識を同時処理可能としている。

富士通研究所とFRDCは、この技術で認識できる事象の追加と精度向上を進め、実証実験を進めていく予定。2016年度以降、この技術と、富士通が提供する位置情報を活用したクラウドサービス「FUJITSU Intelligent Society Solution SPATIOWL」を連携させることで、広域で発生した事象をリアルタイムで認識し、瞬時に地図上に表示するサービスの中国での実用化を進め、その後、日本も含めほかの地域へ展開を目指す。

《レスポンス編集部》

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