BMWは20日、報道関係者向けに「自動運転導入を巡る国際的動向」のプレゼンテーションをBMW GROUP Tokyo Bay(東京・お台場)にて開催。自動運転に関する興味が高まっている状況下、その導入を巡る国際的動向を環境やインフラといった側面から採り上げた。
この日はまず、パネリストとしてBMWグループの渉外サステナビリティ・コミュニケーション部門でEモビリティ&コネクティビティを担当するマイク・ボレス博士による基調講演からスタートした。ボレス博士は、ここで自動運転が持つ意味とBMWの自動運転に対するアプローチ、そしてBMWグループが導入しようとしている新たな技術についてのプレゼンを行った。
以下はその要約。
自動運転の実現によってもたらされるのは、ドライバーが移動中の時間を効率的に利用できるようになるということ。読書やビデオの鑑賞、あるいは仕事に移動時間を使ってもいい。また交通事故全体の94%はヒューマンエラーによっ発生しており、自動運転が実現すればこれが担保されて安全に対しても大きな貢献を果たすようになる。
一方で、クルマを所有するコストも大きな要素。ドイツではクルマを持つと年間10900ドルを超えている。月々1000ドルものコストがかかっているのだ。これをもし、シェアサービスを利用するようになれば、そのコストは大幅に引き下げることができる。
BMWでは自動運転レベルを、支援システムがないレベル「0」から、ドライバーが不要なレベル「5」まで全6段階に分けている。その中で注目はレベル「3」で、緊急時はドライバーによる介入が必要となるものの、通常時は運転操作そのものをクルマが行うというものだ。ただ、ここへ行く過程のハードルはかなり高い。
そんな中、ニューBMW『7シリーズ』は、極めて高度な自動運転に近いレベルを実現。それは限りなくレベル「3」に近い状態にある。とはいえ、一定時間ハンドル操作をしなければ、自動操舵については解除されてしまう。その意味で、完全なレベル「3」にはない状態にあるのは確かだ。
では、自動運転の実現に向けて何が必要なのか。それは大きく3つあると思う。一つはハードウェアの妥当な価格の実現だ。二つ目はコネクティビティで、三つ目は高度な計算能力だ。周辺を検知する高度なセンシング技術、それと協調する高精度なマップが必要となり、それが実現できる誤差は±5cm以下。そして人間が成長の過程で学習したように、様々な障害物や背景に対する学習能力のレベルアップも必要だ。それが人工知能につながっていく。
自動運転を実現するには業界の枠を超えた連携が必要だ。たとえば、それぞれの会社が地図を別々に作製するのは無駄なこと。BMWではそのスタートとしてアウディやダイムラーと共に、地図会社の「HERE」を買収し、自動運転に向けて共通の地図を使うことになった。
さらにインテルやモバイルアイとの協業もスタートしている。これらによりBMWでは2021年に路上での自動運転の実現を目指しているところだ。