『NSX』と聞いただけで身震いがして心拍数が一割上がる。ぐっと低いボディ。やる気まんまんな顔と、周囲の視線を釘付けにする後ろ姿。とにかく目立つ。試乗中に高速道路を走っていたら、何台のクルマに並走され追っかけられ、覗き込まれたことか。全体像はいい。しかしながら改めて運転席に座るまでの一連の動作を行うと、残念なところが目につく。まず、ドアハンドル。シルバーで大きくて無骨なフォルムで握り心地の悪いドアハンドル。北米仕様なら隣接するスイッチにふれると、自動でしゅっと飛び出してくるらしい。しかし、日本仕様は出ない。よって、テコの原理により手動式で持ち上げるというむだな動きを強いられる。この出てくる距離は63mm。欧州には自動で飛び出してくるのは40mm以下であることという決まりがあるため手動なのだが、欧州の車両法を準拠する日本も、手動になったとのこと。でもなー、昨今の国土交通省は商品の競争力強化のためにあれこれ考えてくれるから、なんか抜け道を見つけてくれそうだったのに。手動で握りにくくて結果ださくて、本当に残念だ(ホンダの言い訳としては、手をかざすとアンロックする機能をつけたので、40mm以下にできなかったとのこと。ちゃんと書いたからね、ホンダの担当者さん)。そして、ドアをあけて乗り込むと、インテリアも超残念である。ちゃちい。二千万円超えのクルマとは思えないほどの安っぽさだ。シートの皮の張り具合、色味、グローブボックス開閉の質感、ダッシュボードの雰囲気、スイッチのデザイン……上げていけばきりがないほど突っ込みどころが満載で気持ちが萎える。トドメはオプションでつけられるドリンクホルダー。その素材感も位置も理解不能なのに、さらに500mlのペットボトルを入れると、さいしょのコーナーで簡単に転がるという体たらく。この高価なクルマを、どうしたらここまで残念な感じにできるのか教えてもらいたいくらいだ。SH-AWDのおかげでオシリからきゅっと曲がってくれたり、HVならではの加速や音があったりと(でも、もっとどかーんと加速して欲しかったな)、楽しめるけれど、クルマ、特にNSXみたいなクルマには、ストーリーが大切なのだ。見て、乗り込んで、走って、ひたる。この一連の動作がどうもぎくしゃくしちゃって、なんとも落ち着かない。ガワは北米が担当したというけれど、ホンダは日本の会社でしょ。日本クォリティの基準くらいクリアさせようよ。北米のスーパーで売られているド派手でクリームてんこもりのデコレーションケーキを思い出し、それじゃ日本のクリスマスのロマンチックさは演出できないんだよね、と思うのである。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★パワーソース:★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。
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