「e-トロン」の充電ポートは、フロントの“4つ輪”をスライドさせると現れる。まるでサンダーバードのようなギミックだ。ほかにメッキの横パターンのグリルも専用デザイン。が、ことさらEVでもあることの主張はむしろ控えめ。普通に『A3』している。運転席に収まれば、眼前のアナログメーターの向かって左がタコメーターではなくパワーメーター。実験車的な趣はまったくないというか、いかにも特有の表示で何か一生懸命に読み取らなければ…の緊張感はない。たとえば『プリウス』のように、内装・外観の何から何まで精一杯斬新感を表現しているのとは対照的だ。言いたいのは、いかにもPHEVでござい!の主張を抑えた大人のクルマだということ。ハイブリッドを記号性で選ぶユーザーはまだ多いと思うが、「使いやすいから『A3スポーツバック』を選んだ、そのパワーユニットがたまたまPHEVだった」。レポーターだったら、そんな面持ちで乗りたいと思う。で、実際の走りも“普通に『A3スポーツバック』している”とくに軽快でスムースだがどこかエレガントな走りっぷり(乗り心地、クルマの挙動)は、いかにもアウディ流。PHVが走りに何かネガな要素をもたらしたか…というと、まったくそんなことはない。むしろ街中で快適なEV走行が体感できることなど、使用シーンをイメージすれば何気なくアウディらしいスマートさだ。また足を伸ばすような場合で、アクセルの踏み込み加減次第で、エンジン+モーターの力強い加速をモノにしているのも心強い。実燃費への影響はあるが、充電モードを使うこともできる。ごく個人的には『ゴルフ』よりもAピラーつけ根が手前に引かれた手の内に置ける車両感覚はこのクルマ自体の大きな魅力だとも思う。スポーツ一辺倒ではなくてもいい大人のための上質なPHEVだ。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★★島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
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