【プジョー 508 ディーゼル 試乗】歴史感じる気負わない走り…島崎七生人

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プジョー508 GT BlueHDi
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ディーゼルエンジン搭載車である前に、何といってもプジョーのフラッグシップセダンらしいこと。今回の試乗で改めて実感したのはそのことだった。

個人的には、何度も自分で乗りたいと思ったかつての上級セダン『607』を試乗した際のイメージが回想シーンで頭のなかに蘇った。ゆったりとした室内空間と乗り味、安心感のある走りっぷり、フードがキチンと見渡せる扱いやすさなど、いずれも『508』に受け継がれている。これみよがしではない控えめなルックスもプジョーの上級セダンの伝統だ。

後席は座面の前後長と高さがたっぷりとしていていい。このクラスなら家族や知人など大切な人をここに乗せるチャンスが少なからずあるだろうが、決して失礼にならない。

一方で180ps/400Nmの2リットルBlueHDiターボディーゼルとのマッチングも、いささかも『607』のキャラクターを崩さない。訊けばGTグレードは本国でも高性能版として位置づけられるモデルとのこと。なので硬軟いかような走りも可能にしており、ゆったりとアクセルを踏み込めばゆるやかに加速。モードを「S」に切り替えれば、ただちに俊足ぶりを発揮、吹け上がりにもストレスはまったくない。

積極的に走らせようとした場合、GTグレードのスペックである18インチタイヤ(ミシュラン・プライマシーHP)、やや重めの操舵力にセットされたステアリングとのバランスは釣り合うこともわかった。また速度でいうと60~70km/h以上から、明らかにヒタッと路面に吸い付くようになめらかな感触になるサスペンションも、気持ちよく安心感が高い。ちなみにタイヤ空気圧は190km/h手前のレンジでは前後とも260kPaの設定だ。

エンジンがオンの状態では、内・外観でディーゼル固有の音が聞こえるのは事実。ガソリンエンジンとは異なる振動がごくごく小さくアクセルペダル、フロアから伝わるのがわかる。が、だとしてもそれらはまったく不快には感じないのは、そういうパワートレーンの存在も含め、トータルで自然体な“クルマが走っている実感”が味わえるからだろう。

クルマの“走り”というと、とかく高性能車のそれが語られがちだが、普通のセダンの潔く気持ちのいい走りの魅力も大事なものだ。ディーゼルエンジンで長い経験をもつプジョーらしく、気負わずさり気ないが良質なセダン…そんな実力が味わえる1台だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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